密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

軍事・戦争

別冊歴史REAL 大日本帝国海軍 空母機動部隊全史 (洋泉社ムック)

大日本帝国海軍の機動部隊について紹介したムック本。真珠湾攻撃に多くのページが割かれており、後半の元攻撃隊員たちの証言も真珠湾攻撃についてのものである。CGや写真が多く掲載されている。 珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦…

よくある兵器の紹介ではなく、自衛隊の組織や運用といったソフト面に重点が置かれている。「図解でわかる自衛隊のすべて」

著:自衛隊の謎研究会 自衛隊について説明した本。10式戦車、いずも型DDH、C-2戦闘機などの簡単な説明や、巻末に主要な兵器の縮小解説が載ってはいるものの、兵器の話はあまり多くはない。 この本の中心になっているのは、自衛隊の組織、編成、自衛隊員の1日…

カタログ的な本ではなく、兵器としての戦車の汎用知識がよくまとまっている。「図解 戦車 (F-Files No.012)」

著:大波 篤司 戦車の本。地味なつくりだが、よくある、こういう戦車があるというカタログ的な説明の本ではなく、テーマごとに戦車という兵器がどのようなものであるかを丁寧に説明したものになっている点が良い。 攻撃力・防御力・機動力。カタログではわか…

決定版太平洋戦争⑨日本降伏 天皇・陸海軍・米ソそれぞれの戦い (歴史群像シリーズ)

著:片岡 徹也、纐纈 厚、佐藤 卓己 「これ以後日本政府は、軍部の動向を警戒・牽制しつつ、連合国側とのあいだに国体護持の確証を得ようとする。その一点だけのために、実に二ヶ月以上の時間を費やすことになるのである」。 豊富な資料で太平洋戦争を振り返…

戦略・戦術でわかる太平洋戦争―太平洋の激闘を日米の戦略・戦術から検証する (学校で教えない教科書)

著:太平洋戦争研究会 本書は太平洋戦争研究会が編纂している。たとえば、木村兵太郎率いるビルマ方面軍司令部の唐突なラングーン放棄などについては載っていないし、全体的にそれほど深い内容ではない。しかし、太平洋戦争の重要なポイントについてはおおむ…

不沈潜水艦長の戦い―海の王者が描く不屈の潜水艦魂 (光人社NF文庫)

著:板倉 光馬 日本海軍潜水艦で、潜水雷長(イ69)、艦長(イ176、イ2、イ41)、さらには人間魚雷回天の指揮官を務めた元海軍中佐の回想録。 半分以上は、戦争前の記録である。貧困家庭で育ち、猛勉強で海軍兵学校に入り、「酒乱」として数々の武勇…

米国立公文書館に保存されていた米軍撮影の写真の数々が圧倒的。『写真が語る「特攻」伝説―航空特攻、水中特攻、大和特攻』

著:原 勝洋 特攻隊について資料を中心に紹介した本。日本側の写真や情報もあるが、なんといっても米軍側で撮影された、たくさんの写真が圧倒的で目を引く。全体のうち280ページまでが写真中心の構成となっている。 さらに、各特攻隊の編成と戦果、米軍の分…

「太平洋戦争」アメリカに嵌められた日本

著:マックス・フォン・シュラー 「私はアメリカ生まれだが、基本的にアメリカ人は他国に興味がなく、自分たちのことだけを考えている人が多い」。 「(アメリカは)別に悪の国ではないが、何よりも国益第一の国なのだ」。 日本に長く住む元海兵隊員のアメリ…

決定版 太平洋戦争⑧「一億総特攻」~「本土決戦」への道 (歴史群像シリーズ)

著:片岡 徹也、瀬戸 利春、山崎 雅弘 「決定版太平洋戦争」の第8巻。このシリーズは掲載資料が豊富で、数ある太平洋戦争関連の著作の中でも特筆すべき内容を誇る。本書では、レイテでの完敗を受けて、・本土決戦の準備・硫黄島の戦い・沖縄戦・特攻の4つの…

本土決戦―陸海軍、徹底抗戦への準備と“日本敗戦”の真実 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 60)

「歴史群像」の記事から集めて編纂してある。本書は兵器や戦略や人だけでなく、むしろ、国内・国外のいろいろな政治的な背景や駆け引き、当時の日本の生産力や補給の状況、原爆投下を含む米軍の爆撃戦略の詳細などが複数の研究家の手によって細かく淡々と載…

消えゆく太平洋戦争の戦跡

編集:「消えゆく太平洋戦争の戦跡」編集委員会 ハワイ 、ガダルカナル、ニューギニア、ラバウル、サイパン、グアム 、アッツ・キスカ、 インドネシア 、インパール、 タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、硫黄島 沖縄。太平洋戦争に関する地域の元…

現代の日本の組織にも通じる太平洋戦争敗戦の教訓。『失敗の本質―日本軍の組織論的研究 』

著:戸部 良一、寺本 義也、鎌田 伸一、杉之尾 孝生、村井 友秀、野中 郁次郎 有名な本である。1991年出版でありながら、いまだに根強く売れているロングセラーでもある。 ノモンハン事件(1939)、ミッドウェー作戦(1942)、ガダルカナル作戦(1942-1943)、イン…

アメリカの対中国貿易赤字や教育システムが利用されているといった非軍事についても論じられている。『米中もし戦わば 』

著:ピーター ナヴァロ、訳:赤根 洋子 「将来どんなことが起こりえるかをすべて想定できる人間には、その中から最善のものを選び、最悪のものを避ける、最上のチャンスが与えられている」。 2015年11月に米国で発売された“Crouching Tiger”の日本語訳版であ…

米国側から取材した緻密なドキュメンタリー。日本軍守備隊の奮戦。損害を重ねながらも攻勢を強めるアメリカ海兵隊。『硫黄島―太平洋戦争死闘記 』

著:リチャード・F. ニューカム、訳:田中 至 「3月18日、硫黄島を確保した。27日間の地獄ののちに」。 米国の記者が取材を重ねて書いた本の日本語訳である。硫黄島の戦いに関する本は、日本でもたくさん出版されている。しかし、それらの多くは攻撃側である…

大日本帝国海軍の現場を支えた艦長たちの奮戦記録からリアルに見えてくる太平洋戦争。『艦長たちの太平洋戦争』

著:佐藤 和正 太平洋戦争で生き残った34人の艦長を、ひとりひとり訪ねて丁寧に取材した結果を一冊にまとめてある。雑誌の連載が元に追加補筆してあり、掲載順は海軍兵学校の卒業期に準じているそうだ。 強く胸を打たれた。多くの戦記を読んできたが、この本…

忘れてはならない記憶。『決定版 長崎原爆写真集』

編集:小松健一 、新藤健一、監修:反核・写真運動、監修:反核・写真運動 1945年(昭和20年)8月9日。長崎に原爆が投下された。本書はその後の様子を撮影した写真を集めたものである。爆裂15分後に地上から撮影された原爆雲をはじめ、8月から10月に撮影され…

「この世界の片隅に」のような悲劇を日本中に生んだ、アメリカの日本焦土化作戦の詳細。『日本空襲の全貌』

編集:平塚 柾緒 読んでいて、やりきれないせつなさがこみ上げてくる。第二次世界大戦におけるアメリカ軍の日本本土爆撃についてまとめた本である。 米軍が事前の偵察や戦果の確認用に撮影した写真が数多く掲載されており、同時に、爆撃の被害に遭った各都市…

壕を駆使した軍の抗戦。ガマで救われた住民の命と悲劇。『沖縄の戦争遺跡 〈記憶〉を未来につなげる』

著:吉浜 忍 沖縄の戦争遺跡について解説した本。飛行場跡、司令部壕、砲台、トーチカ、陣地壕、監視所、通信所、特攻艇秘匿壕、軍病院壕、官庁壕、御真影奉護壕、住民避難壕(ガマ)、収容所、慰霊の塔・碑というような内容になっている。冒頭部分では、沖…

補給と兵站、シーレーン攻防に見る敗戦の本質。「太平洋戦争 日本の敗因〈1〉日米開戦 勝算なし」

編集:NHK取材班 「日本軍は開戦当初、アメリカの潜水艦をなめていたため、輸送船の護衛体制を致命的におろそかにした」。 本書の主役は、真珠湾攻撃でも、ミッドウェーでも、硫黄島でも、カミカゼでも、広島・長崎でもない。ずばり「シー・レーン」である。…

本当に広大だった大日本帝国の勢力圏。終戦の日を境にそれが消滅。激動の歴史。『「大日本帝国」崩壊―東アジアの1945年』

著:加藤 聖文 広大な大日本帝国の勢力圏がポツダム宣言受諾後にどのような道を歩んだのか、その激動の様子まとめた本である。朝鮮:直後から複数の政治団体が乱立。朝鮮総統府は現地の元政治犯に丸投げしようとしたが、アメリカの統治開始で李承晩が南朝鮮…

スピードと集中の信長。「織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで 」

著:谷口 克広 「信長が長期にわたる包囲戦の効果を理解できなかったはずはない。だが、嫌う傾向にあったとはいえる」。 信長の戦い方、特に桶狭間の戦いに関しては近年新説も出ていて、それに対する反論や諸説も出ているようだ。少し前の本なので、新説につ…

レーダー、ヘルキャット、VT信管。効果的な迎撃システムとその運用。『太平洋戦争 日本の敗因〈3〉電子兵器「カミカゼ」を制す』

編集:NHK取材班 この本の元になっているNHKの番組は当時見た。しかし、この本の内容は元々の番組とは少し違う印象を受けた。番組では、レーダー、ヘルキャット、VT信管の3つに特に焦点が当たっていた。しかし、本書はレーダとレーダを使った迎撃システムの…

真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝 (講談社文庫)

著:淵田 美津雄 真珠湾攻撃の飛行隊で隊長を務めた淵田美津雄の遺稿を元に一冊にまとめてある。意外に内気だった少年時代の様子から、戦前、戦中、終戦後、そしてキリスト教に改宗してアメリカに滞在した頃のエピソードに至るまで詳しく書かれてある。 一番…

壮絶体験!修羅場と化したの硫黄島で通信兵をして島を見て回り、司令部が落ちた末期まで生き延びた壮絶なリアル体験。「十七歳の硫黄島」

著:秋草 鶴次 硫黄島の戦いの生存者が、自らの戦場での体験について時間をかけて丁寧にまとめた原稿を本にしたものである。 著者は情報を扱う海軍の通信兵としての訓練を受けて赴任しているため、自ら直接戦闘を行うことは無かったようだ。ただ、通信兵であ…

補給戦―何が勝敗を決定するのか

著:マーチン・ファン クレフェルト、翻訳:佐藤 佐三郎 興味深い一冊だった。類書が少ないだけに、関心のある方には一読を勧める。ただ、そう難解な本ではないものの、理解のためには本書で述べられている戦いに関する基礎的な知識は多少は必要だ。 特に印…

圧倒的な物量の米軍を前に知恵と勇気で大奮戦し、硫黄島の戦いなどのモデルにもなった守備隊の戦術とは?「ペリリュー島玉砕戦―南海の小島七十日の血戦」

著:舩坂 弘 もう何年も前になるが、たまたま、靖国神社の就遊館で、ぺリリュー島の戦いについての特別展をやっていたのを見た。それからずっと心に引っかかっていたので、本書を探して読んだ。 日本軍は失敗から学ばない軍隊だといわれることがあるが、それ…

自主規制の空気を作り上げていった大日本帝国の巧みな情報規制政策。『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』

著:辻田 真佐憲 戦前・戦中の大日本帝国における検閲制度の実態について書かれた本。その中でも大きなテーマになっているのは、この本のタイトルからも察しがつくように、検閲制度は実際の検閲そのものだけでなく、検閲の主担当だった内務省の検閲機構を中…

大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争

著:辻田 真佐憲 「こうした(陸海軍の)報道部員たちは、しばしばマスコミ関係者の回想録で、権力を笠に着た抑圧者として描かれる。たしかにそういった面はあったのかもしれない。だが、実際のところ報道部員たちは、陸海軍の対立や作戦部などとの折衝に悩…

マッカーサー参謀と呼ばれた男。現代の日本にも通じる情報に対する考え方。『大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇』

著:堀 栄三 「情報は常に作戦に先行しなければばらない」。この書は数ある太平洋戦争の著書の中でも他にはない貴重な記録となっている。なぜなら、「作戦課は情報部の判断を歯牙にもかけていなかった」「作戦と情報が隔離していた」という当時の日本陸軍の…

シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争

著:麻田 雅文 「もともとシベリア出兵は、イギリスやフランスが第一次大戦で勝利するために思いついた、大戦下の補助的な作戦に過ぎなかった。だがその後、日本など各国を巻き込んで二転三転してゆく。結局、日本は出兵した国々でも最長の期間シベリアに居…