著:片岡 徹也、纐纈 厚、佐藤 卓己
「これ以後日本政府は、軍部の動向を警戒・牽制しつつ、連合国側とのあいだに国体護持の確証を得ようとする。その一点だけのために、実に二ヶ月以上の時間を費やすことになるのである」。
豊富な資料で太平洋戦争を振り返るシリーズの第9巻。本書では、ポツダム宣言受諾までの経緯、日本の降伏をめぐる米ソを中心とする国際的な駆け引き、日ソ不可侵条約を破棄した上に8月15日が過ぎても侵攻をやめないソ連、満州や占守島やビルマ方面といった戦線の様子が描かれている。
米国の原爆投下計画についても、感情を排して記述されている。原爆投下効果を確認するために、米軍が候補都市への爆撃を控えていたことも主要都市への爆撃量の比較から明らかにされている。周到に行われた訓練や原爆搭載予定機の設計変更についても詳しい。
それにしても、終戦の経緯を振り返る度に、もう少し早くなんとかならなかったものだろうかと思わずにはいられない。本当に、ため息が出る。
・6日:広島への原爆投下。
・9日:ソ連の参戦(原爆投下を聞いて、日本が降伏する前に攻めようとソ連が予定を繰り上げて実施)。
・9日:長崎への原爆投下。
・9日:条件をひとつに絞り、一度目の聖断。
・10日:聖断に従い、ポツダム宣言受諾を通知。
・12日:バーンズ回答(天皇及び国家統治の検眼は連合軍最高司令部の制限の下になる)。
・14日:バーンズ回答に意見が割れるが、二度目の聖断。
・15日:玉音放送。
ただ、この本の天皇と統帥権の話は、意図も結論もあいまいで、もう少し掘り下げる余地があったのではないか。確かに天皇も作戦についてのコメントを出していたが、それはヒトラーのような関与の仕方とは違うし、統帥システムについての考察もこれだけではなにがいいたいのかよくわからない。
ムック、136ページ、学習研究社、2010/11/30
決定版太平洋戦争?日本降伏 天皇・陸海軍・米ソそれぞれの戦い (歴史群像シリーズ)
- 作者: 片岡徹也,纐纈厚,佐藤卓己
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2010/11/30
- メディア: ムック
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