密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

軍事・戦争

補給戦―何が勝敗を決定するのか

著:マーチン・ファン クレフェルト、翻訳:佐藤 佐三郎 興味深い一冊だった。類書が少ないだけに、関心のある方には一読を勧める。ただ、そう難解な本ではないものの、理解のためには本書で述べられている戦いに関する基礎的な知識は多少は必要だ。 特に印…

圧倒的な物量の米軍を前に知恵と勇気で大奮戦し、硫黄島の戦いなどのモデルにもなった守備隊の戦術とは?「ペリリュー島玉砕戦―南海の小島七十日の血戦」

著:舩坂 弘 もう何年も前になるが、たまたま、靖国神社の就遊館で、ぺリリュー島の戦いについての特別展をやっていたのを見た。それからずっと心に引っかかっていたので、本書を探して読んだ。 日本軍は失敗から学ばない軍隊だといわれることがあるが、それ…

自主規制の空気を作り上げていった大日本帝国の巧みな情報規制政策。『空気の検閲 大日本帝国の表現規制』

著:辻田 真佐憲 戦前・戦中の大日本帝国における検閲制度の実態について書かれた本。その中でも大きなテーマになっているのは、この本のタイトルからも察しがつくように、検閲制度は実際の検閲そのものだけでなく、検閲の主担当だった内務省の検閲機構を中…

大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争

著:辻田 真佐憲 「こうした(陸海軍の)報道部員たちは、しばしばマスコミ関係者の回想録で、権力を笠に着た抑圧者として描かれる。たしかにそういった面はあったのかもしれない。だが、実際のところ報道部員たちは、陸海軍の対立や作戦部などとの折衝に悩…

マッカーサー参謀と呼ばれた男。現代の日本にも通じる情報に対する考え方。『大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇』

著:堀 栄三 「情報は常に作戦に先行しなければばらない」。 この書は数ある太平洋戦争の著書の中でも他にはない貴重な記録となっている。なぜなら、「作戦課は情報部の判断を歯牙にもかけていなかった」「作戦と情報が隔離していた」という当時の日本陸軍の…

シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争

著:麻田 雅文 「もともとシベリア出兵は、イギリスやフランスが第一次大戦で勝利するために思いついた、大戦下の補助的な作戦に過ぎなかった。だがその後、日本など各国を巻き込んで二転三転してゆく。結局、日本は出兵した国々でも最長の期間シベリアに居…

歴史的な報道カメラマン。ロバート・キャパの残した著書。『ちょっとピンぼけ (Slightly Out of Focus)』

著:ロバート・キャパ、訳:川添 浩史、井上 清一 「106枚写した私の写真の中で救われたのは、たった8枚きりだった。熱気でぼけた写真には、”キャパの手は震えていた”と説明してあった」。 歴史上もっとも有名な戦場写真家であるロバート・キャパが残した第…

ロバート・キャパ写真集

編集:ICPロバート・キャパ・アーカイブ 歴史的な報道写真家であるロバート・キャパの写真を236点収録した文庫本である。世界的に名声を高めることになった「崩れ落ちる兵士」をはじめとするスペイン内戦。日中戦争。第2次世界大戦におけるヨーロッパ戦線。…

中国の産業スパイ網 世界の先進技術や軍事技術はこうして漁られている

著:ウィリアム・C. ハンナス、 アンナ・B. プイージ 「中国が非公式に先進技術を入手しようと手を伸ばしている相手はアメリカだけではない。すべての先進国がこの問題に直面している。その筆頭は、中国のすぐ隣の国だ。本書が書いてきたことはすべて、日本…

大きな縄張図で歩く!楽しむ! 完全詳解 山城ガイド

監修:加藤理文 タイトル通り、全国にたくさんある山城跡から特徴的な城を選んで緻密に描かれたカラーの大きな縄張り図によって紹介した本。30 x 21[cm]と、大きめのサイズになっていて、その上、オールカラー。取り上げられている城の数自体は34城と、それ…

写真で見る 日めくり日米開戦・終戦

著:石山 永一郎、沼田 清 太平洋戦争についての本は無数にあるが、この本は戦争の過程部分は要約のみとし、開戦に至った経緯(1941年7月28日~1941年12月8日)と終戦前後の期間(1945年7月16日~1945年9月15日)に集中して書かれてある点に特徴がある。まと…

本土決戦―陸海軍、徹底抗戦への準備と“日本敗戦”の真実 (歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 60)

編:歴史群像編集部 「歴史群像」の記事から集めて編纂してある。本書は兵器や戦略や人はもちろんだが、それだけでなく、国内・国外のいろいろな政治的な背景や駆け引き、当時の日本の生産力や補給の状況、原爆投下を含む米軍の爆撃戦略の詳細などが複数の研…

日本軍鹵獲機秘録

著:押尾 一彦、 野原 茂 第2次世界大戦期を中心に、日本軍が鹵獲(ろかく)した連合軍の航空機の記録を紹介した本である。第1次世界大戦の参加で戦利品として獲得したドイツ軍の航空機、シベリア出兵で獲得したロシアの飛行機もある。日中戦争とノモンハ…

戦場の生存術

アフリカやインドシナで従軍した日本人の経験に基づいて書かれた本のレビューです。

連合艦隊司令長官豊田副武が残した貴重な記録。『最後の帝国海軍 - 軍令部総長の証言』

豊著:豊田 副武 連合艦隊司令長官としてどれだけ有能であったかという点での評価はいろいろあるかもしれないが、少なくとも立場的なことに限っていうなら、豊田副武は当時の帝国海軍において間違いなく決定的に重要な地位にいた人物である。戦前は海軍大臣…

軍艦、最期の瞬間

大日本帝国海軍の軍艦を中心に、各艦の最後を、それぞれの船の写真付きで紹介した本である。ムック本サイズ。空母、戦艦、巡洋艦、駆逐艦。一部、潜水艦も載っている。 各艦の紹介には、簡単な戦歴の説明、大きさやトン数などの仕様などが書かれているが、な…

戦艦大和―生還者たちの証言から

著:栗原 俊雄 「生き残ってしまった」という後ろめたさ。各方面から成績上位者が選抜された憧れの船である「俺は、あの大和に乗っていたんだ」という誇り。「作戦は間違っていたが、大和はあそこで沈んでよかった」という思い。戦艦大和の生還者たちの多く…

戦争調査会 幻の政府文書を読み解く

著:井上 寿一 この本は、2016年に公刊されるまで、国立公文書館と国立国会図書館憲政資料室で眠っていた「戦争調査会」の全15巻の資料に基づき、関連する情報を補った上で書かれた本である。 「戦争調査会」は終戦後に幣原喜重郎首相が企画・設立したプロジ…