密林の図書室

日々読んでいる本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考え、このブログを立ち上げました。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

歴史

飢餓や戦乱や近隣との争いといった過酷な状況の中の中世日本の村と百姓。「中世民衆の世界」

著:藤木 久志 日本の中世の百姓たちの行動と村の内実を、様々な古文書の記述から推測したもの。今までの常識に異を唱えているところもある。中世の村のしくみについて基本から系統立てて説明している本ではなく、ある程度中世の村と支配体制についての基礎…

嘘だらけの日独近現代史 (扶桑社新書)

著:倉山 満 「嘘だらけシリーズ」の完結編。このシリーズはすべてそうだが、著者の毒舌調の解説が特徴で、本書でもそれは随所に出ている。もっとも、日本との関係ということでいくなら、この本以前の日米・日英・日中・日露でも指摘されている重複している…

ただただ不毛で不条理。「応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 」

著:呉座 勇一 「これだけ大規模で長期にわたる戦乱なのに、大名たちが何のために戦ったのか見えてこないというのは不思議である。劇的で華々しいところがまるでなく、ただただ不毛で不条理。これが応仁の乱の難解さ、ひいては不人気につながっているのだろ…

ほんとうは、日韓併合が韓国を救った! (WAC BUNKO)

著:松木 國俊 以前は取り立てて問題にしていたわけではない旭日旗を戦犯旗だというキャンペーンを世界的に始めたりするなど、韓国側の歴史認識はかえってひどくなっている面もあるが、日本国民の日韓併合時代の歴史認識についてはこの本のオリジナルが出た…

室町幕府って、本当にダメダメだったんだな。『図説 室町幕府』

著:丸山裕之 応仁の乱を扱った本が異例の大ヒットを記録してから、室町時代をテーマにした本が地味ながら何冊も出ている。この本もその一冊といえる。 室町幕府は守護たちに支えられた連合政権といわれるが、実際はもう少し複雑である。行政・軍事体制は発…

高精細画像で甦る 150年前の幕末・明治初期日本 ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション

編集:東京大学史料編纂所 古写真研究プロジェクト 150年前に来日したブルガーとモーザーというオーストリア人2人が日本で撮影した270点の写真を、現代のデジタル技術を駆使して再現したものである。本書の解説によると、ここで再現されている映像の元は、…

昭和初期を中心に。日本は実はこういう国だった。『教科書には載っていない! 戦前の日本』

著:武田 知弘 紡績はもちろん、自転車におもちゃに鉄と、貿易大国だった戦前の日本。アジアの革命家の拠点でもあった。世界の最先端分野がいくつもあった科学力。 全身に入れ墨を入れていた小泉又次郎代議士(小泉純一郎の祖父)。合法的な売春地帯であった…

地震、噴火、土砂崩れ、津波。災害に見舞われ続けてきた日本。「天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 」

著:磯田 道史 「300年前のこの古文書は我々に物語る。老人・子どもは災害時の低体温症にとくに弱いこと。年長者は責任ある言動をしなければならないこと。疲労困憊時には弱気になり判断が鈍ること。我々はこれらを自覚して、老いも若かきも、最後まで避難を…

本当に広大だった大日本帝国の勢力圏。終戦の日を境にそれが消滅。激動の歴史。『「大日本帝国」崩壊―東アジアの1945年』

著:加藤 聖文 広大な大日本帝国の勢力圏がポツダム宣言受諾後にどのような道を歩んだのか、その激動の様子まとめた本である。朝鮮:直後から複数の政治団体が乱立。朝鮮総統府は現地の元政治犯に丸投げしようとしたが、アメリカの統治開始で李承晩が南朝鮮…

スピードと集中の信長。「織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで 」

著:谷口 克広 「信長が長期にわたる包囲戦の効果を理解できなかったはずはない。だが、嫌う傾向にあったとはいえる」。 信長の戦い方、特に桶狭間の戦いに関しては近年新説も出ていて、それに対する反論や諸説も出ているようだ。少し前の本なので、新説につ…

歴史的埋蔵金研究家が残した埋蔵金探しの詳細な記録。「日本の埋蔵金 」(中公文庫)

著:畠山 清行 「私は、『埋蔵金を掘りたい』という人がくると、まず『およしなさい』ということにしている。なぜなら、一歩踏み込んだらなかなか抜けられず、家も屋敷も財産もぶちこんでしまうからだ。赤城のように、証拠めかしいものでも出ればなおのこと…

タラと並んでヨーロッパを支えてきた魚。『ニシンの歴史 (「食」の図書館) 』

著:キャシー ハント、訳:龍 和子 ニシンは畜産が発達するまでヨーロッパの食を支える大切な食べ物であり、タラと並んで歴史を支えてきた魚であった。12世紀までにはヨーロッパの人々は主食のパンとニシンを常食としていたという。海洋権益という概念が生ま…

歴史的な重要人物を殺害した剣客たちの人物像やそれからに迫る。「あの方を斬ったの…それがしです 」

著:長谷川 ヨシテル 森蘭丸、井伊直弼、大久保利通、源実朝、坂本龍馬、太田道灌、真田幸村、斎藤道三、今川義元、他。歴史に名を遺す有名な人々を、戦で最後に打ち取った、もしくは計画的に襲撃して殺害したという実行犯に焦点を当てて紹介した本。 殺害さ…

日本のお吸い物や味噌汁も、スープの一種として紹介されています。『スープの歴史 (「食」の図書館)』

著:ジャネット クラークソン、訳:富永 佐知子 「西洋では、両手つきの小さなデミタスカップ入りブイヨン以外、スープは『飲む』ものではなく、スプーンで『食べる』ものだ。一方、東洋では、スープの具を箸で食べたあと、器に直接口をつけて汁を飲むのが正…

信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書)

著:谷口 克広 「短気、気まぐれ、傲慢、残忍、他人に厳格すぎること、執念深いこと、猜疑心が強いこと...(中略)...信頼できる史料だけで信長の性格を観察してみても、そうした認識は間違いではない」。 タイトル通り、信長の周辺に数多くの人々の屍が累々…

パンの歴史 (「食」の図書館)

著:ウィリアム ルーベル、 訳:堤 理 「新鮮さはそれ自体に価値がある。しかし歴史的に見ると、パンはあたたかいうちに食べられたことはなく、実際、現代にいたるまでの健康指南書は口をそろえて、焼きあがって1日おかなければパンを食べてはいけないと述べ…

考証要集 秘伝! NHK時代考証資料

著:大森 洋平 NHK職員向けの資料を基にしたオリジナル本。アイウエオ順に辞書形式になっていて多少単調ではあるが、「へえ~」の連続で、結構面白い。いくつか例を挙げる。 ・「空気」「青年」「単純」「結局」「自覚」「時間」「象徴」「神経」「信仰」「…

「日本統治下の朝鮮 - 統計と実証研究は何を語るか」について

著:木村 光彦 大日本帝国の一部だった頃の朝鮮半島の経済について、朝鮮併合から日本の敗戦による統治の終了まで、さまざまなデータを駆使して説明した本。日本が去った後に、南北朝鮮がその遺産をどのように生かしたかについても書かれてある。 韓国や北朝…

注意人物への日常的な監視、スパイ網を通じた市民の視察、盗聴、信書抜き取り、あいまいな理由での検挙と拘束、拷問、長期拘留。『特高警察』

著:荻野 富士夫 戦前・戦中を通じて猛威を振るった特高警察についての本。注意人物への日常的な監視、スパイ網を通じた市民の視察、盗聴、信書抜き取り、あいまいな理由での検挙と拘束、拷問、長期拘留。戦前を通じて日本国内では、特高警察の拷問による虐…

オレンジの歴史 (「食」の図書館)

著:クラリッサ ハイマン、訳:大間知 知子 最近の研究によると、オレンジの原産地は、中国南西部の雲南省とその周辺のインド、ビルマ、中国南部らしい。オレンジの歴史について書かれた本。西洋の話が中心だが、起源のような古い話については東洋や柑橘類一…

テンプル騎士団の謎 (「知の再発見」双書)

著:レジーヌ・ペルヌー、翻訳:南条 郁子、監修:池上 俊一 第1回十字軍後、エルサレムへのキリスト教巡礼者の安全を守るために生まれた修道士&騎士の団体であるテンプル騎士団について解説した本。著者はフランスの中世史を専門とする歴史家。ビジュアル…

パイナップルの歴史 (「食」の図書館)

著:カオリ・オコナー、翻訳:大久保 庸子 パイナップルは世界的にバナナに次いで最も食されている熱帯果実である。そのままで、あるいは缶詰やジュースやカクテルとして、いろいろな料理に添えるものとして、利用されている。 西洋人がこの果物と出会ったの…

将軍直系の子供たちは短命。子づくりマシンだった将軍様。「徳川将軍家十五代のカルテ 」

著:篠田 達明 徳川将軍15代には、「長命の将軍ほど色欲が盛んで子沢山である」と「平均寿命を計算してみると、およそ51歳である。平均寿命より短い者は、家茂を除いて将軍直系の子供たち」という特徴があるという。 著者は医師であり作家である。本書は狙い…

「親米」日本の誕生

著:森 正人 面白そうなタイトルなので読んでみた。戦争に負けてボロボロになった日本。進駐軍に群がる人々、パイパンと呼ばれる売春婦のような負の部分、アメリカ的な考えや憧れ、民主主義の称揚、家電ブーム、自家用車ブーム、「奥様は魔女」。日本の戦後…

大きな縄張図で歩く!楽しむ! 完全詳解 山城ガイド

監修:加藤理文 タイトル通り、全国にたくさんある山城跡から特徴的な城を選んで緻密に描かれたカラーの大きな縄張り図によって紹介した本。30 x 21[cm]と、大きめのサイズになっていて、その上、オールカラー。取り上げられている城の数自体は34城と、それ…

図説 イスラム教の歴史 (ふくろうの本)

著:菊地達也、大渕久志、矢口直英、平野貴大、相樂悠太、堀井聡江、西野正巳 この本の「はじめに」に書かれているように、イスラム教は世俗に屈して形式や精神だけが中心になってしまった宗教ではない。今なお状況に応じて変化して「生き続けている」宗教で…

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新

著:磯田 道史 江戸時代末期の下級武士に関する歴史研究の成果をまとめた第一級の研究報告資料である。しかも、大変面白く、現代に生きる我々にも通じる様々な教訓がにじんでいる。 磯田氏が史料を発見し、この本を世に出すまで、世間的には全く知られていな…

終戦直後の日本 教科書には載っていない占領下の日本

著:歴史ミステリー研究会 玉音放送の後に特攻へ飛び立った人たち。8月15日以降もソ連の対日参戦などで帝国陸海軍は18万の死者を出している。多くの人が恐れた米軍の上陸の日。がれきとなった日本軍の飛行機がところ狭しと置かれている厚木飛行場。喜びを爆…

国旗で読む世界史

著:吹浦 忠正 日の丸をはじめとする国旗にまつわる話やエピソードについて書かれた本。著者は1964年の東京オリンピックで国旗の担当を務め、1998年の長野五輪でも儀典担当顧問を務めた。最初の8ページの口絵部分のみカラー印刷。 東京五輪と長野五輪では「…

富原文庫蔵 陸軍省城絵図

著:富原 道晴 現在は城ブームだが、城郭含め江戸時代の姿がそのまま残っている例は多くない。しかも、かつて全国の城がどのような姿であったのか、きちんとまとめて残されている資料も意外に少ないそうだ。もっとも重要とされるのは、各藩から提出された絵…