著:小和田 哲男
兵はどのようにして集められたのか。何を食べていたのか。城に立てこもっていた男女子供は負けた後どうなったのか。いわゆる影武者は本当にいたのか。忠義を尽くして死んだ武将の子はどう扱われていたのか。今まで一般にはあまり注目されていなかった点に視点を広げて、戦国時代に関する考察を行っている本。
軍師は占い師の役割も担っていた。鉄砲は種子島伝来以前にも日本に入ってきていたようだ。今川義元は兵が占領地での略奪に出かけて手薄になっている間に討たれた可能性がある。信長は道路整備に熱心で3段階に分けた最高ランクのものは道路幅が6mもあった。どの大名も軍規の維持には腐心していた。なかなか面白く読める話がいくつもあった。
後半部分では、近年新しい説が出ている合戦について、まとめて言及してある。賤ヶ岳の戦いの遺構から読み取れることの考察などは興味深かった。また、著者は研究者として顔が広いのだろう、自説を書きながらもそれだけでなく、他のいろいろな研究者の新説や発見にも幅広く目を向けている。
新書、277ページ、学習研究社、2008/05