密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

アクティブラーニング 学校教育の理想と現実

著:小針 誠 学校で導入が進んでいる「アクティブラーニング」について、日本の教育の歴史を振り返りながら著者の見解を述べた本。2017年3月に改訂・告示された学習指導要領でも、「主体的・対話的で深い学び」という言葉に置き換えられて、アクティブラーニ…

日本のお吸い物や味噌汁も、スープの一種として紹介されています。『スープの歴史 (「食」の図書館)』

著:ジャネット クラークソン、訳:富永 佐知子 「西洋では、両手つきの小さなデミタスカップ入りブイヨン以外、スープは『飲む』ものではなく、スプーンで『食べる』ものだ。一方、東洋では、スープの具を箸で食べたあと、器に直接口をつけて汁を飲むのが正…

ビジネスで機械学習(AI)をやるなら知っておいた方がいいプロジェクトやソフトウェア工学面でのノウハウ。『仕事ではじめる機械学習』

著:有賀 康顕、中山 心太、西林 孝 機械学習の本は今やたくさん出ているが、この本はちょっと毛色が違う。機械学習のアルゴリズムや理論の解説もあるが、むしろ、機械学習のプロジェクトを進めるときには、どのようなことに注意すべきかについて中心に書か…

多くのエピソードとともに、フランス人の本質をユーモラスに説く。「新装版 フランス人 この奇妙な人たち 」

著:ポリー・プラット、訳:桜内篤子 読んでいる途中で、何度か吹き出しそうになった。フランスにやって来た外国人が不愉快にさせられた山のような体験談とエピソードに基づき、ユーモラスかつ具体的に書かれている。 元々英語圏向けに書かれた本だが、著者…

東京駅100周年東京駅100見聞録

著:佐々木 直樹 東京駅に魅せられ、東京駅フォトグラファーを自認する著者が、東京駅についての100のポイントを語った本。111ページしかないが、写真が多く掲載されており、オールカラー。建物としてスポットが当たっているのは歴史的建造物である丸の内側…

目指すは「ウィン・ウィン」。もっとも重要な三大要素とされているのは、「情報」「時間」「力」。『FBIアカデミーで教える心理交渉術 』

著:ハーブ・コーエン、川勝 久 交渉術の本である。1980年にアメリカで出版され160万部売れたという"You Can Negotiate Anything"の邦訳版。1981年と2008年に邦訳版が出ており、これは2015年1月に刊行された文庫版のレビューとなる。 著者はハーバード大学や…

図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書

著:小宮 一慶 「私は現在、10ほどの企業の株を所有しています。購入したのはすべてリーマン・ショック後ですが、まだ売った株はありません。株式投資というものは、自分がこれだと思う企業の成長や社会の発展に合わせて自分の財産をふやしていくものだと考…

富士山大噴火が迫っている! ‾最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模‾ (知りたい!サイエンス)

著:小山 真人 富士山は活火山である。そして、著者によると、今の富士山の状態は、寝ている人がちょうど「寝返りをうった状態」ということだ。 日本をよく知らない外国人であっても、Mt. Fuji はたいてい知っている。日本人にとっては桜と並んで日本を象徴…

日本の伝統色を愉しむ ―季節の彩りを暮らしに―

監修:長澤陽子、イラスト:エヴァーソン朋子 桜色(さくらいろ)、水色(みずいろ)、紅藤色(べにふじいろ)、菖蒲色(あやめいろ)、鶯色(うぐいすいろ)、東雲色(しののめいろ)、茜色(あかねいろ)、朱鷺色(ときいろ)、夏虫色(なつむしいろ)、今…

ブロックチェーン技術の未解決問題

著:松尾真一郎、楠正憲、崎村夏彦、佐古和恵、佐藤雅史、林達也、古川諒、宮澤慎一 ビットコインやイーサリウムを中心に、ブロックチェーン技術が抱える問題について、複数の識者が解説及び意見を書いたもの。 執筆者が複数に分かれており、細切れで、書き…

社会派小説家池井戸潤が直木賞を受賞した見事な長編小説。『下町ロケット 』

著:池井戸 潤 「半沢直樹」で一気にブレイクした池井戸潤が、 第145回直木賞を受賞した作品。 その後、TBSのドラマとしてもヒットした。物語開始早々、いきなりの試練連発。 町工場の中小企業を襲う、取引打ち切りに、特許訴訟。 しかし、これらはロケット…

ビッグデータやAI(機械学習)時代に決定的に重要なデータの前処理。「前処理大全 データ分析のためのSQL/R/Python実践テクニック」

IT

本橋 智光 (著) ビッグデータは様々なデータをためる仕組みであり、機械学習はデータで学習させる。統計的な手法を駆使して分析を行うデータサイエンティストも引っ張りだこだ。それらに共通することはデータである。しかし、データを高い利便性で利用しよう…

ネスカフェ、スウォッチ、カルティエ、UBS、アデコ、他。スイスのブランドはなぜこんなに強いのか?「ブランド王国スイスの秘密 」

著:磯山 友幸 「値下げ競争を続けていると、消費者は製品に敬意を示さなくなる。10ドルで売っているようなブランドの製品を妻や友達にプレゼントするような人はいない」。 「日本メーカは価格を重視して戦略を立てているが、それではダメだ。価格主導で需要…

信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書)

著:谷口 克広 「短気、気まぐれ、傲慢、残忍、他人に厳格すぎること、執念深いこと、猜疑心が強いこと...(中略)...信頼できる史料だけで信長の性格を観察してみても、そうした認識は間違いではない」。 タイトル通り、信長の周辺に数多くの人々の屍が累々…

未来の年表2

著:河合 雅司 ベストセラーになった「未来の年表」の第2弾である。前著とは切り口が少し変わっているが、テーマ自体は、空き家がたくさんできる、宅配をやる人がいなくなる、中小企業の後継者が不足するというように、少子高齢化が進めば日本や私たちはどう…

パンの歴史 (「食」の図書館)

著:ウィリアム ルーベル、 訳:堤 理 「新鮮さはそれ自体に価値がある。しかし歴史的に見ると、パンはあたたかいうちに食べられたことはなく、実際、現代にいたるまでの健康指南書は口をそろえて、焼きあがって1日おかなければパンを食べてはいけないと述べ…

ミッフィちゃんの産みの親。オールカラーで写真や作品を多数紹介。「ディック・ブルーナのすべて 改訂版」

編集:講談社 「僕は子供たちにわかってほしいと思って描いてはいません。小さいころ欲しかったものを作っているだけです。人生の初期、特に幼いころというのは、幸せで、あたたかさに包まれて、健康的でなくてはいけません。そんな環境に育つことが力強い人…

JSONでREST API。翻訳ものではないので読みやすい日本語。『Web API: The Good Parts』

IT

著:水野 貴明 Web APIの設計や開発や運用において、留意すべきことを簡潔にまとめた本。URIにアクセスするとJSONやXMLで結果を返すタイプであるいわゆるREST APIを前提としている。 内容的には、Web APIの重要性、設計の注意やポイント、データフォーマット…

「流れる臓器」血液の科学―血球たちの姿と働き

著:中竹 俊彦 「私は、マスコミが広めた『血液サラサラ』『血液ドロドロ』は、医学や科学科学の立場からはふさわしくないと考えます。『血液型性格診断』など論外のことです」。血液の成分、働き、赤血球や白血球などの役割、仕組みの概要についてわかりや…

新編 ヴァイオリン&ヴァイオリニスト (ONTOMO MOOK)

編集:音楽の友 数年おきに最新情報を更新して新編が出ているヴァイオリンとヴァイオリニストについての紹介本。ムック本サイズで表紙と裏表紙を除き全て白黒印刷である。 ただ、ヴァイオリンの本としては、それほど詳しいものではなく、前回のバージョンに…

100歳まで元気に歩く! 正しい歩き方

速歩きでウォーキングを継続して行うことの重要性とその効果および歩き方について説明している本。ムック本サイズで図解が多い。 1日1万歩以上の必要はなく、1日8000歩を目安とし、中強度の運動を行う時間を20分とる。中強度の運動とは、広い歩幅で速歩きす…

もっと知りたいエル・グレコ―生涯と作品

著:大高 保二郎、松原 典子 「おそらくエル・グレコの絵画は当時のトレードにおいては、『アバン・ギャルド(前衛)』であったに違いない」。 エル・グレコ(1541-1614)の作品の特徴と一生について解説した本。オールカラー。薄いが、数多くの作品が掲載さ…

今や日本はOECDで第5位の移民大国。「コンビニ外国人」

著:芹澤 健介 日本にいる在留外国人は2017年6月現在で247万人で、総人口の1.9%を占めている。在日朝鮮・韓国人は減っているが、全体的には増加傾向にある。外国人労働者という分類では128万人で、この10年で2.6倍に増えた。技能実習の名目で工場や農家で働…

不平等について―― 経済学と統計が語る26の話

著:ブランコ・ミラノヴィッチ、訳:村上 彩 不平等について次の3つの視点から26のテーマに分けて論じた本である。 単一のコミュニティ内での個人の間の不平等。 国や民族の間の不平等。 グローバルな不平等(個人と地域の不平等を合わせたもの) 取り上げて…

日欧EPA。中国とはちがい、民主主義で法治国家で先進国の市場でチャンスをつかめ。『ヨーロッパで勝つ! ビジネス成功術』

著:塚谷 泰生 「2017年12月には日欧EPA(経済連携協定)交渉が妥結し、2019年からの発効を見込んでいて、最終的には多くの分野で関税がゼロまたはゼロに近くなり、貿易の障壁は無くなります。関税によって競争力を削がれることなく、日本国内で販売するのと同…

補給戦―何が勝敗を決定するのか

著:マーチン・ファン クレフェルト、翻訳:佐藤 佐三郎 興味深い一冊だった。類書が少ないだけに、関心のある方には一読を勧める。ただ、そう難解な本ではないものの、理解のためには本書で述べられている戦いに関する基礎的な知識は多少は必要だ。 特に印…

考証要集 秘伝! NHK時代考証資料

著:大森 洋平 NHK職員向けの資料を基にしたオリジナル本。アイウエオ順に辞書形式になっていて多少単調ではあるが、「へえ~」の連続で、結構面白い。いくつか例を挙げる。 ・「空気」「青年」「単純」「結局」「自覚」「時間」「象徴」「神経」「信仰」「…

財務3表図解分析法

著:國貞克則 財務3表一体理解法の姉妹編。財務3表一体理解法が理論編で、こちらが実践編という位置づけになる。 事業とは、資本を調達して資産を取得し、その資産を売上に変え、その売上から利益を得るプロセスになる。図示すると、以下の形である。よって…

闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々

著:溝口 敦 「あるいはグレービジネスから学ぶものなどないと峻拒される方もおられよう。しかしグレービジネスもオモテのビジネスもいかに顧客に満足してもらい、長期にわたって安定的に多く稼げるか、を目的としている。オモテもグレーも同じように経営努…

〝社風〟の正体 (日経プレミアシリーズ)

著:植村 修一 タイトルと「はじめに」を立ち読みして、面白そうな本だと思って買った。製品やサービスに比べると「社風」や「企業文化」は、わかりにくいし、見えにくいが、著者によれば、どの会社でも「社風」や「文化」はあるという。 「不祥事につながる…