著:小宮 一慶
「私は現在、10ほどの企業の株を所有しています。購入したのはすべてリーマン・ショック後ですが、まだ売った株はありません。株式投資というものは、自分がこれだと思う企業の成長や社会の発展に合わせて自分の財産をふやしていくものだと考えているからです」。
株式投資の本。初心者向けにやさしく書かれている。実に手堅い内容で、短期のさやとりを目的にした売買ではなく、現物株式の中長期の投資に徹したバリュー投資の立場で書かれてある。REITについても書かれている。
具体的に、本書で株式投資において重視されているのは、あくまで以下の3つである。信用取引は3の株価分析の参考値として登場するが、著者は「やりません」と、断言している。チャートの読み方についても、書かれていない。
1.経済分析:マクロ経済指標
2.企業分析:企業の財務諸表
3.株価分析:PER, PBRといった投資指標
「これはあくまでも私の場合ですが、私は、あまり相場が荒れているときには買いません。経済危機や○○ショックで株価がドーンと落ちたときは確かに買いどきですが、こうした相場が荒れているときは株価が日々乱高下します。それを眺めてから、少し落ち着いてきたときに買います。…(中略)…このときに私が注意して見ているのが、東証一部の株の1日の売買代金です」
「安易にROEを高めようとするのではなく、『ROAを高めることでROEも高まる』というのが、経営者にとっての健全な考え方だろうと考えています…(中略)…ROAは、一般的には2%なら普通、5%以上なら優良と私は見なしています」。
「営業キャッシュフローで『稼ぎ』、それを投資キャッシュフローと財務キャッシュフローで『使う』のが企業の健全な姿です」。
株式投資において、特に重要な7つの指標として、以下の条件をあげている。まっとうである。
・中長期の安全性→自己資本比率、20%以上
・収益性1→売上高成長率、前年比プラス(長期トレンドも)
・収益性2→当期純利益伸び率、前年比プラス(長期トレンドも)
・配当1→配当性向、30%以上
・配当2→配当利回り、3%以上
・株価1→PER、20倍以下
・株価2→PBR、2倍以下
投資信託については、「自分では買えない金融商品を投資信託で買うようにしています」とのことで、「投資信託も安いときに買う」と、述べている。
優良企業を見極め、経済状況とトレンドを把握しながら、あくまでも安い時に、余裕資金で、現物取引で買う。そういう、一番正攻法の株式投資の方法について書かれている本である。
単行本、303ページ、PHP研究所、2018/1/26
図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書 [ 小宮一慶 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > その他
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 1,782円