著:河合 雅司
ベストセラーになった「未来の年表」の第2弾である。前著とは切り口が少し変わっているが、テーマ自体は、空き家がたくさんできる、宅配をやる人がいなくなる、中小企業の後継者が不足するというように、少子高齢化が進めば日本や私たちはどうなるのか、ということを扱っていることには変わりはない。前著が売れたことで著者にはたくさん講演依頼が舞い込んだそうで、おそらくそこで投影して説明するために作ったであろうプレゼン用のスライドの絵がいくつも登場する。そのため、よりポイントがわかりやすくなっている。解説においても、講演会での聴衆や主催者側の反応に触れているところもある。
著者は、人口減少社会は避けられないことを力説し、「戦略的に縮む」ことの大切さを訴えている。対策として挙げられていることは、個人と企業と地域に分け、以下のようなものである。
・働けるうちは働く
・一人で2つ以上の仕事をこなす
・家の中をコンパクト化する
・ライフプランを描く
・年金受給開始年齢を繰り下げ、起業する
・全国転勤をなくす
・テレワークを拡大する
・商店街は時々開く
正直、テーマの大きさに比べ、対策の方はもうひとつな気がした。特に、企業や地域ができることはこれだけではないのではないか。少子高齢化が進むことでどうなるのかを知りたい人には悪くない本だと思われる。
新書、238ページ、講談社、2018/5/16