著:川端 康雄、加藤 明子
ラファエル前派の画家、バーン=ジョーンズ(1833-1898)の生涯と作品を紹介した本。このシリーズの他の本と同じく、ページ数は限られるものの、オールカラーで、ビジュアルに訴える構成となっている。
バーン=ジョーンズの生涯はビクトリア朝(1837-1901)と重なる。18世紀後半の産業革命が軌道に乗り、綿産業と鉄鋼業の生産は世界の半分を占める。一方、貧富の差も広がる。そんな時代の中、バーン=ジョーンズはバーミンガムの自営職人に生まれる。市立のデザイン学校での素描の勉強。大学への進学と中退。ラファエル前派の画家であるダンテ・ゲイブリル・ロセッティとの出会い。ウィリアム・モリスとの生涯の親交。結婚。モリス・マーシャル・フォクナー商会の設立。パトロンたちの登場。
16世紀以降のエナメルカラーの技法ではなく、鉛の枠線に色ガラスを配置する中世の技法に回帰したステンドグラス。初期の暗い色調から豊かな色調への変化へのきっかけとなったイタリア旅行。前衛的な水彩画と油彩画の数々。連作。緻密な描写力。霊感をもたらした女性達。オールドウェーター・カラー・協会。トロイや英雄ペルセウスなどの神話の題材。タペストリー。晩年の大作「アヴァロンのアーサー王の眠り」。
幻想的で緻密な画風で美術史に確かな足跡を残したイギリスの画家の生涯と作品の特徴及びその変遷がわかりやすくまとまっている。
単行本、80ページ、東京美術、2012/6/30
もっと知りたいバーン=ジョーンズ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) [ 川端康雄 ]
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