著:南 雄介、福満 葉子
「当初からシュルレアリスムの本質は、現在と変わりませんでした。つまり、それは、人間の生は、絶対的に、生きられるに値するものでなければならないという概念です」(ルネ・マグリット)。
ベルギーのシュルレアリスムの画家として有名なルネ・マグリット(1898-1967)の生涯を作品とともに紹介した本。79ページほどの本だが、ムック本サイズでオールカラー。
マグリットの少年時代に、精神を病んでいた母親が川に身を投げた。2週間後にかなり傷んだ状態で見つかり、顔が白いナイトガウンでおおわれていたという。父は行商に出ることが多く、それほど恵まれた少年時代ではなかったようだ。
キュビズムの影響を受け、デザイナーと画家を兼業しながら作品を作り続ける。14歳のときに会った女性と青年時代に再会して結婚し、生涯添い遂げる。
3年間パリにいた以外はずっとブリュッセルに住み、2つの大戦があったりはしたが、マグリット自身は比較的地味な生涯だったようだ。この辺は、同じシュルリアリスムの画家といってもダリなどとはずいぶん違う。
作品と解説も充実している。初期の「水浴の女」から、有名な「凌辱」。人魚の上半身と下半身を逆にした「集合的発明」。いかにシュルレアリスムの作品らしい「困難な航海」。大きな鼻がそのままパイプにつながっている「哲学者のランプ」。鏡を見ている背がそのまま鏡に映っている「複製禁止」。乗馬の女性が林の光景と入り乱れている「白紙委任」。表紙にもある「光の帝国」。ラピュタのような「ピレネーの城」。木の手前に三日月がかかっている「手前にかかる月」。やはり有名な、「これはパイプではない」と大きく書かれたパイプの絵もある。
個人的な話になるが、「大家族」を見たくてクルマを飛ばして宇都宮まで行ったことがある。もちろん、この大作も載っている。
ただ、ページ数が限られているので、「ファッショナブルな人々」「チェックメート」「ランドスケープ」などはない。それから、これはあくまでも好みの問題だが、作品の解説は、ややくどめな気がしないでもない。
もっと知りたいマグリット 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) [ 南雄介 ]
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