シナリオ・記事:小田ピンチ、マンガ:坂元 勲、監修:田村 大
IDEO社をきっかけに有名になった「デザイン思考」をマンガ形式で紹介した本。主人公と補佐役の女性そしてアドバイス役の有名企業の会長、という登場人物を中心にしたストーリー仕立てになっている。以下のような内容である。
デザイン思考の3つのプロセス
デザイン思考のプロセスは、以下の3段階のステップを踏む。
着想:ソリューションを探り出すきっかけになる問題や機会。
発案:アイディアを創造、構築、検証するプロセス。
実現:アイディアをプロジェクトルームから市場へと導く工程。
1.着想
ソリューションを探り出すきっかけになる問題や機会のフェーズ。ポイントになるのは、鍵は潜在的ニーズを見つけ出すこと。そのために重要なのは、まず、観察。この世のモノ・サービスはすべて、対象となる人間の心をポジティブにするために存在する。例えば、料理が美味しいから売れるのではなく、料理が美味しいのが「嬉しい」から売れる。つまり、重要なのは、人の心を満たすこと。データ分析だけではそこが見えてきにくいので、観察が重要になる。
潜在的なニーズを見つけるための手法のひとつは、共感マップを作ること。それを埋めて、客観的に眺めてみる。そこから、斬新なもの、意外なもの、予想外のもの、矛盾を感じるものがあれば、潜在的なニーズが存在する可能性がある。
共感マップ
SAY
顧客が言ったことを書く |
THINK
顧客が考えたと思われることを客観的に書く |
DO
顧客がしたことを書く |
FEEL
顧客が感じたと思われることを客観的に書く |
さらに、顧客がモノ・サービスを利用する過程を旅に見立てて、観察結果を書いて、カスタマージャーニーを明らかにする。
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来店する |
着席する |
注文する |
料理を食べる |
席を立つ |
会計をする |
退店する |
SAY |
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DO |
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2.発案
アイディアを創造、構築、検証するプロセス。ここでは、ブレインストームを効果的に使う。ブレーンストーミングを行うときには、質より量にこだわり、自己防衛心を取り除き、他者のアイディアをもとに飛躍し、上下関係の影響を排除し、どの案を採用するかは多数決次第。
3.実現
アイディアをプロジェクトルームから市場へと導く工程であり、ここでは、プロトタイピング(試作品)を有効利用する。プロトタイピングは小さく失敗するプロセスでもある。小さく速く小さな失敗を繰り返して使えるものを創ってゆく。また、その時には、以下の3つについて念頭に置き、そのバランスをとるようにする。
技術的実現性:技術的に実現可能かどうか
経済的実現性:コスト的に可能かどうか
有用性:人間の欲求をとらえてポジティブな感情を生み出すものか
まんがなので読みやすい。また、ところどころ文章による解説か書かれている。こういうタイプのマンガ形式の本は、手法のノウハウのエッセンスがわかりやすくまとめられているので、便利で良い。
目次
第1章 創造的覚悟
第2章 着想(1)「潜在的ニーズ」
第3章 着想(2)「普通を見直す」
第4章 着想(3)「カスタマージャーニー」
第5章 発案(1)「ブレインストーミング」
第6章 発案(2)「プロトタイピング」
第7章 実現「プレゼンテーション」
単行本、207ページ、小学館 、2017/10/25