密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

銀河のすべて (ニュートン別冊)

銀河系の全体像。ブラックホール。銀河同士の衝突。ダークマターダークエネルギー。銀河について、解説した科学雑誌Newtonの別冊である。オールカラーで、Newtonお得意の美しいイラストや写真がたくさん掲載されており、視覚的かつ直観的に銀河について理解しやすくなっている。

「銀河系をCTスキャンしてみよう」というコーナーや、「局所銀河群に秘められた銀河の歴史」のように、イラストはなかなか考えられたものになっている。

 

ダークマターの話が各所に出てくる。ダークマターは質量はあって重力には反応するものの、通常の物質にある電荷を持たず光を含む電磁波には反応しない。このため光を含む電磁波による計測はできず、「見えない物質」とされている。ただ、存在は確実視されていて、宇宙に存在する物質の80%がダークマターとされる。そして、銀河はダークマターに包まれている。宇宙を加速膨張させているダークエネルギーについての話もある。

 

かつて余剰次元理論(RS理論)を発表し、写真を見る限り若いころにはかなり美人だったように思われるリサ・ランドール博士が発表した新しいダークマター理論のインタビューとその解説は、この本の目玉のひとつになっている。

しかし、この博士の説明によると、ダークマターにも種類があり、重力以外の電磁気に似たものに反応する「新しいダークマター」というものもあるという。こでは宇宙の総重量の5%以下で「ダークディスク」という円盤状になっているものもあるだろうという。

 

 宇宙は広い。しかし、大きなスケールの時間軸と視野に立つなら、意外にダイナミックな表情と変化を伴っている。そういうことを実感させてくれる本である。

 

ムック、159ページ、ニュートンプレス、2017/12/18

 

銀河のすべて (ニュートン別冊)

銀河のすべて (ニュートン別冊)