著:垣見 裕司
日本の石油業界について解説した本。これが第5版。ベストセラーというようなタイプの本ではないが、何度も改訂版が出ているということは、地味ながら需要があるのだろう。
日本のエネルギー事情とその中での石油の重要性。脆弱な日本のエネルギー基盤。備蓄は半年以上あるがLNGは少ない日本の備蓄の盲点。業界の収益構造。製油所の統廃合と余剰感。実は余剰生産能力があったから東日本大震災の被害を乗り切れたこと。シェールガス。バイオ燃料。自然エネルギーでは石油の代わりにならないし、原発も増やせないし、メタンハイドレードもまだ先。業界の再編成。減少を続けるSS。2重課税の不合理。実は、諸外国の中では日本のガソリンは安い方。クルマの変化がSSのビジネスにもたらす影響。セルフVSセルフになってきたSSの消耗戦。
石油業界の再編が続いているので手に取った本だが、予想よりSS関連の話が多かった。海外の石油メジャーや資源国に関する話も少ない。反面、著者自身がいろいろビジネスをしてきた経験に基づいて書かれている部分や、業界についてよく理解している立場から書かれている提言が多く、とのような点は特徴的である。SSの苦しい経営状況の話も印象的だ。様々な資料も掲載されている。
目次
第1章 石油業界の最新常識
第2章 大きく変わる国際原油市場
第3章 大きく変わる石油業界の構図
第4章 国内石油流通市場の動向
第5章 セルフSSの実力と今後のSS
第6章 近未来自動車とSS業界
第7章 震災と石油業界
第8章 日本のエネルギー問題を考える
単行本、233ページ、日本実業出版社、最新5版、2017/2/23