著:仲町 啓子
尾形光琳(1658-1716)の生涯を代表作の解説とともに紹介した本。オールカラーでムック本サイズ。ページ数は少ないが、ビジュアル的にわかりやすい構成になっている。
代表作である「燕子花図屏風」や「高白梅図屏風」はもちろん、狩野派の影響を強く受けた20歳くらいの作品も掲載されている。「四季草花図巻」における墨の濃淡の違いとにじみにほんのりと緑系の色彩を加えたセンスは絶妙。「風神雷神」や「槇楓図屏風」といった宗達の影響とそこにみられる光琳ならではの個性についても丁寧にポイントが述べられている。乾山との合作や、扇面貼交手箱の解説もある。
生涯については、京都の商家に生まれて経済的な理由から絵師になり、法教に叙せられ、二条家に出入りする。経済的な事情から江戸に移って、中村内蔵助の援助を受ける。雪舟と雪村の作品の模写や再度の狩野風への接近、浮世絵風にも挑戦したようだ。窮屈な大名相手に嫌気がさして京都に戻り、充実した晩年をむかえる。
光琳の業績がどのように受け継がれ琳派と称される流れを作ったか、ということについても書かれている。尾形光琳の業績と作品を簡潔に理解できるとともに、日本の絵画史における重要性についても立体的な視点から教えてくれる本である。
単行本、80ページ、東京美術、2008/9/25
もっと知りたい尾形光琳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 作者: 仲町啓子
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 単行本
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もっと知りたい尾形光琳 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) [ 仲町啓子 ]
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