著:成澤 勝嗣
狩野派は京都で始まったが、探幽(1602-1674)をはじめとする中枢は徳川幕府直属の家臣に取り立てられて江戸へ行き、探幽の瀟洒な作風を母体とする江戸狩野が誕生する。そして江戸狩野の一部は京都にも住んで御所の仕事を引き受ける。こちらが有名な狩野派の流れである。
しかし本書は、永徳から京都に置き去りにされた狩野山楽へ受け継がれた京都狩野への流れについて紹介した本である。
このシリーズは全てそうだが、薄手でありながら、内容は充実しており、わかりやすい。全てオールカラーで、印刷も悪くない。本書も、たくさんの作品が紹介されており、ビジュアル的に京都狩野の特徴を理解してゆくことができる。
狩野派の初代正信と元信。松栄とその子の永徳。特に永徳(1543-1590)についてはページを割いており、細画の時代、大画の時代、怪奇様式の特徴に違いが見られる3つの時代に分けた解説を行っている。
さらに、光信、孝信、長信、内膳、甚之丞、山楽、山雪、永納、永敬、永岳と続く。怪奇様式の流れを汲む画才として、高田敬輔と曾我蕭白についても取り上げている。狩野派の奥深さを感じられる一冊である。
単行本、95ページ、東京美術、2012/3/15
もっと知りたい狩野永徳と京狩野 (アート・ビギナーズ・コレクション) [ 成沢勝嗣 ]
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