著:池上 英洋
存命中から「神のごとき」という形容詞付きで語られていたという。ルネッサンス期の巨匠中の巨匠であるミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simon, 1476-1564)の作品と生涯を紹介した本。ムック本サイズでオールカラー。
生まれた時期から順に書かれている。この本を読むまで知らなかったが、生家であるポデスタ館はまだ残っていて、ミケランジェロ博物館として公開されているという。
最初期の作品にも、のちに通じる力強い男性の裸体がみられる。メディチ家の古代彫刻コレクションがあるサン・マルコ修道院の中庭に自由に出入りできるようになったこと。
枢機卿ラファエーレ・リアーリオがローマに呼び寄せ、これが縁で将来パトロンとなる人物たちの知遇を得たこと。
ダヴィデ像。教皇の芸術家への道。システィーナ礼拝堂天井画。ユリウス二世廟。メディチ家礼拝堂。ラウレンツィアーナ図書館。マニエリスムの先駆けとなる彫像。「最後の審判」。サン・ピエトロ大聖堂の大改修。
レオナルド・ダヴィンチとのライバル関係や、同性愛者であったことも触れられている。気難しがり屋だが、多くの弟子に慕われ、孤独とは無縁で、フィレンツェの家族を支えると同時に多くの使用人や弟子を養い、面倒見はよかったという。当時としては異例の長寿をまっとうしている。
ミケランジェロが残した作品は、イタリアに旅行したときにいくつか見た。圧巻だった。大げさではなく、人類の至宝だと思った。一部不鮮明なものが含まれてはいるが、78ページにコンパクトにまとめられたこの本は、代表作をはじめ写真が多く掲載されており、解説も要点を押さえたものになっている。
単行本、78ページ、東京美術、2017/5/31
もっと知りたいミケランジェロ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) [ 池上英洋 ]
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