著:千足 伸行
グルタフ・クリムト(1862-1918)の作品集。美術展の画集に等しいサイズで、ページ数もそれなりにあり、印刷は大変良好。もちろん、オールカラー。
世界中の美術館や個人が収蔵しているものから集められていて、初期のものから、「ユーディットI」「接吻」「乙女たち」のような、クリムトのイメージを代表する個性的な絵画や風景画まで、幅広い作品が収録されている。
また、もうひとつの本書の特徴として、文章は必要最低限に抑えられている点を上げたい。主要作品の解説については、よくあるような作品の横ではなく、巻末に回してまとめてある。この工夫によって、すっきりとした構成となっており、じっくりと作品自体に集中して鑑賞出来る。
この手の本の中には、説明文によってせっかくの作品が小さくなっていたり、文章がちらついたり、挙句の果てには後半のページは解説ばかりで肝心の作品は白黒印刷もしくは解像度が悪くて見えにくかったりするようなものも散見されるのだが、本書についてはそのようなことは無い。はっきりと作品を主役にしてあって、名画の数々を前面に押し出した作りとなっているのが嬉しい。
ソフトカバーなので、ハードカバーのような重厚感はないが、個人的にはこの方が重さがない上にパラパラページはめくりやすい。クリムトの世界に、思いっきり浸れる。値段は少々張るがその分質は良い。
大型本、191ページ、東京美術、2013/10/1
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