著:三谷宏治、イラスト:飛高翔、シナリオ:星井博文
フレデリック・テイラー以降の主要な経営戦略論を概観し、マンガ形式を中心に解説した本である。元々、全2巻に分かれて発売されていたものを1冊にまとめて新装合本版として再発売したもののようだ。このため少々ぶ厚めで、2巻を買うより少しお得なお値段設定になっている。
流れとしては、基本的な潮流の説明から、ポジショニング派とケイパビリティ派の2つの流れに焦点を当てて様々な経営戦略理論をマップする方法をとっている。
- 第1章 近代マネジメントの3つの源流
- 第2章 近代マネジメントの創世
- 第3章 ポジショニング派の大発展
- 第4章 ケイパビリティ派の群雄割拠
- 第5章 ポジショニングとケイパビリティと統合と整合
- 第6章 21世紀の経営環境と戦略諸論
- 第7章 最後の答え「アダプティブ戦略」
- 終章 2013~23年の世界と経営戦略論
- 補章 大逆転のための「B3Cフレームワーク」
- 付録:人物ごとの業績一覧
第1章 近代マネジメントの3つの源流
フレデリック・テイラー
現場の作業量計測に基づく科学的管理方法を提唱して生産性の向上を実現。経営学の産みの親とされ、「科学的管理法の原理」で以下を説く。
- タスク管理:1日の公平な仕事量を定める
- 作業研究:熟練工のムリ、ムダ、ムラのない作業を未熟練工に伝える
- マニュアル制度:道具、時間、作業がマニュアル化される
- 段階的賃金制度:仕事量を超える等の生産性向上に対して賃金を上げる
- 職能別組織:組織を計画機能と執行機能に分けて専門部署を置く
ヘンリー・フォード
世帯年収の8分の1の価格のクルマを目指し、作業工程の標準化を進め、徹底した分業化と流れ作業によって「T型フォード」で大量生産システムを実現。一方、チャップリンの「モダン・タイムス」で風刺されたような労働者を単純な流れ作業を繰り返すだけの存在にしたという批判も生じる。
エルトン・メイヨー
「ホーソン実験」から、労働者の社会的な欲求の充足度や非公式な組織(派閥や仲良しグループ)の影響といった感情が生産性や効率に与える影響を明らかにした。これによって、のちのモチベーション研究やリーダシップ研究の流れの先駆けとなった。
アンリ・フェイヨール
企業に不可欠な活動を以下の6つに分類
- 技術活動(開発・生産)
- 商業活動(販売・購買)
- 財務活動(資本調達と運用)
- 保全活動(人事・総務)
- 会計活動(経理)
- 経営活動(経営企画・管理)
このうち、経営活動について、Administration(経営管理)の考え方を以下の5つのサイクルに分類して体系化。このPOCCのサイクルはその後に登場したPDSやPDCAの元にもなっている。
- 計画(Planning)
- 組織化(Oraganzing)
- 指令(Commanding)
- 調整(Coordinating)
- 統制(Controlling)
第2章 近代マネジメントの創世
チェスター・バーナード
組織に共通の目的(経営戦略)を与え、同時に貢献意欲とコミュニケーションを浸透させて、企業体をシステムとして動かすことが経営者の役割であると定める。
ピーター・ドッラッカー
マネージメントの発明者と称される。社会的存在としての人間を活かすために、分権化とマネージメントの重要性を説く。企業経営を内部管理からだけでなく以下の3つの側面から考えるように主張。
顧客の創造:企業は顧客への価値を創造するためにある
人間的機関:企業は人を生産的存在とするためにある
社会的機関:企業は社会のコミュニティの公益をなすためにある
イゴール・アンゾフ
「企業戦略論」(1965)によって経営戦略を体系化。以下の4つの戦略的要素を整理。
- 3Sモデル:戦略(Strategy)、組織(Structure)、システム(System)
- ギャップ分析:現状(AsIs)→あるべき姿(ToBe)
- 企業戦略:事業の方針を決める「事業戦略」を管理統治する
- 競争力の源泉:コアになる強み
その上で、企業戦略を考えるツールとして次のような「アゾフマトリックス」を考案。
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製品 |
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既存 |
新規 |
||
ミッション (市場) |
既存 |
① 市場浸透戦略 |
➂製品開発戦略 |
新規 |
② 市場開拓戦略 |
④多角化戦略 |
アルフレッド・チャンドラー
デュポン、GM、シアーズ・ローバック(現シアーズ)、スタンダード石油ニュージャージ(現エクソンモービル)といった企業の研究から、事業部制の教科書となった「ストラテジー&ストラクチャー(戦略と組織)」(1962)を執筆。経営とは事業戦略と組織戦略の相互作用であるとし、事業戦略に沿って組織戦略を実行することが無難と指摘。「組織は戦略に従う」というキャッチフレーズが有名になる。
マーヴィン・バウアー
経営コンサルティング会社マッキンゼーを再興。商品を組織コンサルティングに絞り、体系化する。
ケネス・アンドルーズ
外部環境における機会と内部環境における強みに焦点を当てながら、企業戦略を作るツールとしてSWOT分析を考案。
フィリップ・コトラー
事業とは顧客の創造であり、マーケティングの目的は販売を不要にするものであると唱え、マーケティングの概念を体系化。以下の5つのステップを提唱。
- 調査(Reserach)
- セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング(STP)
- マーケティングミックス(Product, Price, Place, Promotion。PLC戦略。戦略的マーケティング)
- 実施(Implementation)
- 管理(Control)
第3章 ポジショニング派の大発展
ブルース・ヘンダーソン
ボストンコンサルティンググループを(BCG)立ち上げ。持続可能な成長の方程式、経験曲線、新人社員のアイディアを採用した成長・シェアマトリクス(PPM)の推進で、時間、競争、資源配分の観点から、漠然とした経営指針だった経営戦略論をより具体的な形で企業に提供。
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相対シェア |
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高い |
低い |
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市場成長率 |
高い |
スター Star |
問題児 Problem Child |
低い |
金のなる木 Cash Cow |
負け犬 Dog |
フレッド・グラック
1週間セミナー合宿をはじめとする施策でマッキンゼーを企業・事業戦略サービスで引っ張る。
マイケル・ポーター
ポジショニング派のチャンピョン。「競争の戦略」(1980)、「競争優位の戦略」(1985)を執筆。35歳の若さでHBSの教授となる。企業は5 Forcesと50項目の外部環境リストによって業界構造を正しく理解し、戦略3類型に基づいて自らのポジショニングを定め、ケイパビリティを高めるためバリューチェーンを強化する。
- Five Forces:新規参入者、競合、代替、供給者、買い手
- 戦略3類型:コストリーダーシップ、差別化、集中
- バリューチェーン:5つの主活動と4つの支援活動
※図は英語版のWikipediaより
第4章 ケイパビリティ派の群雄割拠
キャノンとホンダ
従来のアメリカ型の経営理論では説明がつかない無鉄砲型の日本企業のアメリカでの躍進として、キャノンとホンダの例が挙げられてる。
トム・ピーターズ
「エクセレント・カンパニー」によって、成功した企業からのケーススタディから、ハードS(3つ)とソフトS(4つ)以下の7つの成功要因を導く。
- 戦略
- 組織構造
- プロセスや制度
- 人材
- スキル
- 経営スタイル
- 共通の価値観
ロバート・キャンプ
ゼロックスにおいて、TQM(Total Quality Management)及び競合や他業界の研究による様々なベンチマーキングにより、ベスト・プラクティスを見つけて自社に適用し導入する。
- 内部ベンチマーキング(社内比較)
- 競合ベンチマーキング(業界内比較)
- 機能ベンチマーキング(業界外ヒック)
- 一般プロセスベンチマーキング(業務外比較)
ジョージ・ストーク
タイムベース競争理論(Time Based Conpetition Strategy)を提唱。時間を中心にビジネスの競争理論をとらえる。
- 自社の価値を上げるには、顧客の要望から対応までの時間を短くする
- 自社のコストを下げるには、あらゆるプロセスにかかる時間を短くする
時間を短くすることが一見相反する戦略のように見えるコストリーダーシップと付加価値戦略の両方の成功をもたらすカギを握るとする。
マイケル・ハマー
ジェイムス・チャンピーとの共著で「リエンジニアリング革命」を出版。自動化ではなく、伝統的なビジネスの在り方を破壊せよと呼びかける。
- QCではなく抜本的な改革を目指す
- 社内志向ではなく徹底的に顧客志向に
- 中央集権ではなく現場にエンパワメントする
- 機能や経営資源が地理的に離れていてもITで一体化する
- 情報は発生時点で収集して2度と同じものは入れさせない
- 並行して行われる作業は途中で連携させる
- 自動化ではなくその業務をなくせないか考える
ただし、リエンジニアリングは実際には抜本改革ではなくリストラクチャリングの道具とされる。
ゲイリー・ハメル
恩師のC・K・プラハラードと共に「コア・コンピタンス経営」を出版。企業の競争力あニーズ対応力の素になっているものを「コア・コンピタンス」と呼び、自社のコアコンピタンスを見極めて、それが効きそうな未来(5~10年先)の顧客・市場・サービスを見つけ出し、自ら市場開拓することが重要と説く。
リチャード・フォスター
イノベーション理論の先駆者であるヨゼフ・シュンペータの理論が1962年になってエヴェリット・ロジャースの著作で紹介されたのをきっかけに、シュンペータの主張していたイノベーションの非連続性を、2重のS字曲線で表現。「イノベーション 限界突破の経営戦略」としてまとめる。
フレッド・ターマン
アントレプレナーシップでは、自分が持っているリソースを超えて外部の機会に素早く対応し続けることが重要と説き、アントレプレナーの取るべきプロセスのポイントを以下のように整理。
- 戦略の立て方:今の資源にとらわれず機会を提供する
- 機会への対応:長期に徐々にではなく素早く対応する
- 経営資源:所有するのではなく必要なだけ外部から調達
- 組織構造:階層型ではなくフラットにし、インフォーマルなネットワークを多重に結ぶ
- 報償システム:個人では無くチーム単位とし固定式ではなく利益に応じて
ピーター・センゲと野中郁次郎
センゲは「学習する組織」(1990)で競争優位は個人と集団の両方の継続的な学習からしか生まれないと主張。
一方、野中郁次郎は文章化できる形式知の他に、客観化できない主観的な「暗黙知」があるとノベ、「知識創造企業」(1995)でSECIモデルを提示。詳細な知識ではなく戦略の方針をチームが理解することで自己組織化が起きるとする。
ジェイ・バーニー
同じ業界にいながら企業間でパフォーマンスに違いが生じるのは各企業でリソースの使い方に差があるからだとし、「VRIOフレームワーク」を提唱。以下の4つから持続的な競争優位の源泉が判断できるとした。
経済価値(Value):顧客にとって価値があるのか
希少性(Rarity):他社には手にいれにくいのか
模倣困難性(Inimitability):真似しずらいものなのか
組織(Organization):各資源を有効に活用できるのか
ただし、外部環境の変化を取り入れる構造になっておらず、経済価値の分析があいまいだったといった点で難があった。
第5章 ポジショニングとケイパビリティと統合と整合
マイケル・ポーター
「戦略とはなにか」(1996)で、ケイパビリティ戦略の問題点を指摘し、ケイパビリティを高めるだけでは厳しい選択(Hard Choice)は行えず、ケイパビリティは戦略というよりも効率を高める手段であると主張。「競争優位の戦略」で示した3類型に加えて以下の3つのポジショニングの基盤を提案。
- 商品・サービスの絞り込み
- 顧客ニーズ
- 顧客のアクセスしやすさ
ヘンリー・ミンツバーグ
企業で最も大切なのはリーダではなくマネージャであり、マネージャたちの無数の意思決定や行動が企業を支えていると主張。マネージャの仕事は断片的で瞬間的で雑多でほとんどが直観によってなされている。良いマネージャは教室では育たない。よき戦略も机上で定型的に生まれない。
デビット・キャプラン、デビッド・ノートン
「バランス・スコアカード」を提唱。企業戦略に沿って以下の4つの視点で活動項目を互いに関連し合うように組み上げる。その上でそれぞれの数値目標や評価指標を設定してプロセス改善やスキルアップを促す。
- 財務の視点(過去)
- 顧客の視点(外部)
- 内部業務プロセスの視点(内部)
- イノベーションと学習の視点(将来)
W・チャン・キム、レネ・モブルニュ
「ブルー・オーシャン戦略」を提唱。多くの企業が争っているレッド・オーシャンとの対比で新たに創造される市場をブルー・オーシャンと呼び、ブルー・オーシャン向けの12の経営ツールを作成。
ジェフ・ベゾス
Amazonを創業。赤字の状態が続いても投資を拡張し続けデータセンターなど企業のケイパビリティを引き上げ続けることで競争優位を作り上げた。
第6章 21世紀の経営環境と戦略諸論
ミルトン・フリードマン
新自由主義を提唱。最低限のルールを除き、規制を取り払い経済は市場原理に任せるべきだとした。「マネタリズム」「小さな政府」はイギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権に取り入れられた。
ジョン・ケネス・ガルブレス
BBCと組んで「不確実性の時代」を作る。新自由主義では不確実性を減らせない。情報は完全ではなく未来が予見できない時代において人々が頼るものは期待であり、健全な期待を作るには公共投資や金融への規制は必要であると主張。
トーマス・フリードマン
「フラット化する世界」(2005)を出版。インターネットなどの出現によって世界は均質化していると主張。
パンカジ・ゲマワット
史上最年少の31歳でHBSの教授となる。国や地域は、文化的、行政・政治的、地勢的、経済的な距離が大きく離れていて、ヒトもモノも情報もほとんどはローカル内でしか動いていないと主張。世界はギザギザや凸凹を残したまま拡大しており、企業の戦場は広く複雑になってゆくとした。
ブーズ・アレン・ハミルトン
サプライ・チェーン・マネージメント(SCM)の概念を1983年に提唱。生産も調達も物流もバラバラでは限界があり、その隙間にこそ問題があるので、一体として管理するべきとした。
レオナルド・ベリー
リレーションシップマーケティングを主張。顧客との良好な関係づくりを通じて顧客との距離を縮めていくことで顧客満足を超えた「顧客ロイヤルティー」を生み出し、リピーターの育成をめざす。コンサルティング会社アクセンチュアは、SCMの考え方を顧客側に応用してCRMの概念を作り、マーケティング・セールス・サービスの3つを統合的に強化して総合コンサルティング力を強化した。
クレイトン・クリステンセン
「イノベーションのジレンマ」(1997)で、リーダ企業の失敗は顧客志向すぎることから生じることがあると主張し、破壊的イノベーションを提唱。「イノベーションの解」(2003)では別動隊を作りその成果に適した新しい顧客を開拓し、斬新的に拡大する。また、イノベーションを主導するリーダの基本的な発見力として5つを唱えた。
- 関連づける力
- 質問力
- 観察力
- ネットワーク力
- 実験力
ビジャイ・ゴビンダラジャン
「リバース・イノベーション」を提唱。世界の人口を収入層別にBase Of Pyramidで分類してグローバルなビジネスの対象としてとらえ、途上国で生まれたローカルなイノベーションを先進国に逆流させてグローバルなイノベーションとして成功させることを目指す。
フィリップ・エバンス
「Blow to Bits」(1999)を出版。インターネットによってあらゆる境界が低くなってゆき生産者と消費者の立場ですら曖昧になってゆき、小さな企業や個人でも力を得られると主張。
リンダ・グラットン
「ワークシフト」(2011)を執筆し、先進国に住んでいてもスキルが無ければ世界中の労働者と競合することになり低賃金に甘んじることなる、また、単なるジェネラリストとしての中間管理職は急減すると主張。以下の3つのシフトを勧める。
- できれば好きなことの中で複数の専門性を持つ
- 他者とのネットワークを作る
- 所得と消費による満足から脱却する
アルビン・ロスとロイド・シャプレー
シャプレーはふさわしい相手とマッチングする理論をゲーム理論に基づく数学の問題として定式化。ロスはそれを研修医のマッチングなど現実の制度設計に応用。
第7章 最後の答え「アダプティブ戦略」
ダンカン・ワッツ
「偶然の科学」を執筆。以下の3つのバイアスが成功体験に縛られて自らを変えられない状態を作り出し、大失敗を生み出すとする。
後付けバイアス:過去と現在を必然と思いたがる
ハロー効果:結果(成功)に目がくらむ
自己奉仕バイアス:自分(自社)への甘さが目のくらみ方を盛大にする
これを避けるためには、過去(成功)から学ばない、結果(成功)だけで見ない、自分で自分を評価しないことが重要とする。それに代わるものとして、過去に学ぶのではなく今の英知を集め、予測や推測ではなく実際にやってみることを推奨する。具体的には以下の3つの戦略を提示。
- オープン・イノベーション
- ブライトスポット・アプローチ
- 実地の対照実験
エリック・シュミット、ラリー・ペイジ
Googleの創業者。ITによる実践的な試行錯誤を重視。たくさんのITサービスを開発あるいはベンチャーの買収を続ける。ほとんどは中止となるが、「失敗するのは構わない。ただし早く失敗しろ」。
ティム・ハーフォード
「アダプト思考」(2011)を出版。理想の組織の落とし穴を看破。アメリカ軍のイラクでの統治に対する研究から、トップダウン型の統制は現代戦には役に立たないとする。ただし、いつもボトムアップが正解なのではない。試行錯誤をくり返し現場からのフィードバックを得ながら直面する課題を解決してアダプトしてゆくことを推奨する。
ティム・ブラウン
IDEOで「デザイン思考」を世に広める。以下の5つのステップをユーザ中心に循環的に繰り返し、よりよい製品やサービスを生み出す。
- 共感(Empathy)
- 問題定義(Define)
- アイディア出し(Ideate)
- テスト(Test)
- 試作(Prototyping)
スティーブ・ブランク、エリック・リース
「リーン・スタートアップ」を提唱。ブランクはスタートアップは商品開発と顧客開発の2チームだけで良いとし、4ステップ17段階64項目からなる顧客開発モデルを作る。
- 顧客発見(聞いて発見)
- 顧客実践(売って検証)
- 顧客開拓(リーチを検証)
- 組織構築(本格拡大)
リースはブランクの考えを拡張してトヨタのリーン生産方式をスタートアップのマネージメントに応用。構築・計測・学習からなる仮説検証モデルをMVP(Minimum Viable Product)でアイディア検証に必要なものだけに絞って高速に確認と改善を行い、戦略はピボットしながら改善し続けて固まるまでは大勝負しない方法をとることを推奨した。
マーティン・リーヴェス
「アダプティブ戦略」を提唱。戦略を以下の5つに分類。自社がどこにいるのかどこに移れそうかという、自社が環境を変えられるかどうかを見極めてそれに合った戦略をとるえきとする。
- サバイバル戦略:環境があまりにも過酷な場合
- クラシカル戦略:環境が予測可能でも支配できない場合
- ビジョナリー戦略:環境が予測可能で支配できる場合
- シェイピング戦略:環境が予測困難でも支配できる場合
- アダプティブ戦略:環境が予測困難で支配もできない場合
終章 2013~23年の世界と経営戦略論
- VUCA:Volatility(変動性), Uncertainty(不確実性), Complexity(複雑性), Ambiguity(曖昧性)
- パーパス経営:企業の最高目標をパーパスとし、全ての活動と目標をそこに合わせる。
- ティール組織:組織の目標を果たすために個人が意思決定できるフラットな組織
- 両利き経営:「知の深化(Exploitation)」と「知の探索(Exploration)」の両立を目指す
補章 大逆転のための「B3Cフレームワーク」
- 土俵(Battle Circle):その市場の魅力度や事業特性
- 競合(Competitor):競合の戦略、強み、弱み
- 自社(Company):自社の戦略、強み、弱み
第6章については本書の内容をさらに少し補っている。マンガ形式ではあるが内容は易しくはない。個人的に過去にたくさんのビジネス経営戦略本を読んできたので、またとないおまとめの機会になった。
日経BP 日本経済新聞出版 、2023/1/19、 488ページ
付録:人物ごとの業績一覧