著:三谷 宏治、イラスト:飛高 翔
「経営戦略全史」をマンガ化したもの。2巻構成になっており、前編に続く後編にあたるこの革新編では主に1995年以降に流行した理論を扱っている。
本書では、以下のような理論もしくはテーマが取り上げられている。
- マイケル・ポーター:日本企業の変調を根拠にポジショニング戦略の重要性を説いた、
- ヘンリー・ミンツバーグ:企業の発展段階に応じて組織や戦略のあり方を変えるべきだと説いた
- ロバート・キャプランとデビッド・ノートン:「バランススコアカード」を広めた
- W.チャン・キムとレネ・モボルニュ:「ブルーオーシャン戦略」
- ジェフ・ベゾス:ネットと強力な物流拠点の整備を目先の利益より優先
- ジョン・ガルブレイズ:不確実性の時代
- M.フリードマン:新自由主義経済
- トーマス・フリードマン:「フラット化する世界」で世界経済の均質化を指摘
- リチャード・フロリダ:クリエイティブクラスが集まる先進都市とそれ以外の格差を説いた、
- パンカジ・ゲマワット:国や地域は今も距離が離れていて差異が大きいのでその違いに対応しなければならないと説いた
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ブーズ・ハミルトン:SCMという言葉を初めて使いその考え方を需要側に適用したCRMという考え。
- クレイトン・クリステンセン:「破壊的イノベーション」を唱えた、
- ビ:ジャイ・ゴビンダラジャン:Base Of Pyramidと呼ばれる新中間層へ発展する可能性を持った低所得層向けにイノベーションやビジネスを作る「リバースイノベーション」を説いた
- フィリップ・エバンス:情報のリーチとリッチネスの両方が可能になったと指摘した
- アイタン・バクシャイ:情報の拡散の大部分は弱いつながりがもたらしていると証明した
- リンダ・グラットン:「ワークシフト」で3つの転換を説いた
- ムハマド・ユヌス:自律的なマイクロインベストゲーションを実現した
- アルビン・ロスとロイド・シャプレー:ソーシャルにゲーム理論を持ち込んでマッチングに応用
- ダンカン・ワッツ:歴史から答えは学べない、衆知と対照実験に学べと説いた
- エリック・シュミットとラリー・ペイジ:超試行錯誤経営をGoogleで実践
- グレッグ・リンデン:A/Bテストの有効性を示した
- ティム・ハーフォード:「アダプト思考」で、一見無駄に見える試行錯誤の有効性を主張
- ティム・ブラウン:つくって試す「デザイン思考」を広めたIDEO
- スティーブ・ブランクとエリック・リース:「リーンスタートアップ」を生んだ
- マーティン・リーヴス:「アダプティブ戦略」を唱える
イノベーション、リーダーシップ、ラーニング、ネット、ソーシャル、グローバル化。
確立編からケイパビリティ派とポジショニング派の対立という軸をとっていたが、変化のスピードが速い現代ではどちらか一方というのではなく、素早く試行錯誤しながら適切なケイパビリティとポジショニングを動的に決めていこう、という流れになってきていることを示している。
マンガといっても、ビジュアル化と要約のための手段として使われているだけで、きちんとビジネス理論のエッセンスを紹介した本である。巻末には「B3Cフレームワーク」の説明がある。
単行本、246ページ、PHP研究所、2016/5/21
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