著:スティーヴン・ホーキング、監修:佐藤 勝彦、訳:池 央耿
「二十一歳で筋萎縮性側索硬化症が発症したときには、ひどく不公平に思った。どうしてこんな目に遭わなくてはならないのだろうか。人生、もはやこれまでで、多少は自負していた能力もついに発揮することのないまま終わるのか。だが、五十年を経た今では、これまでを振り返って静かな満足を覚えている」。
先日他界した、車椅子の物理科学者として有名なスティーヴン・ホーキングが自らの生い立ち、学生時代、難病であるALSとの闘いの日々、学者としての足跡、そして現在までを語った本。薄い本で行間も広め。苦悩したことや研究への誇りも含めて、素直に自らについて語っている。
生まれた1942年はガリレオの没後300年だという。両親。機関車の模型へのあこがれ。オックスフォード大学、ケンブリッジの大学院。物理学への道。難病のALS。検査入院中に向かいのベッドにいた少年が白血病で死亡したことに直面して、「世の中には私よりはるかに不運な人がいる。だったら、くよくよすることはない」と考えるようになったこと。2度の結婚。何度も命を失いそうになったこと。3人の子供たち。宇宙論。ロジャー・ペンローズと特異点理論。ブラックホール研究。虚数時間。カリフォルニア。音声機械。ベストセラーとなった「時間小史(邦題:ホーキング、宇宙を語る)」。時間旅行は可能か。2012年ロンドン・パラリンピックで務めたアンカー役。
車椅子の姿ですぐ誰かわかるから、外出すると正体を隠すのもままならず、たちまち大勢の人に囲まれるという。潜水艦で海に潜り、熱気球で大空に上がり、無重力空間も経験。宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティクの宇宙ツアーに参加する予定も決まっていたそうだ。
単行本、128ページ、あすなろ書房、2014/4/3
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