著:永井 隆則
「セザンヌが私の唯一の先生だった。...私は何年も彼の絵を研究した。...セザンヌはまるで皆の父親のような存在だった。私たちは彼に守られています」(ピカソ)
ポール・セザンヌ(1839〜1906年)についての本。大きく変貌を遂げる19世紀のパリ。自然にあふれるプロバンス。アカデミー・スイスで知り合った、ピサロ、モネ、ルノワール、シスレーといった仲間たち。古典主義への批判と、ドラクロワ、クールベ、マネへの礼賛。印象派との協調と別れ。
裕福な父親の経済的な援助。水浴図。南フランスの自然。磨かれる構成感。ルーブル美術館通い。その全貌を世間に広く知らせることになった1895年の個展。都市景観には関心を示さず、モデルは庶民ばかり。特に晩年における透明絵具を使った水彩画への注力(生涯の油絵は954点、水彩画は645点)。
幾何学的単純化やデフィルマシオンは、その後の美術の発展に大きな影響を与えた。日本の洋画界に与えた影響も大きいという。この芸術家の残したものが、個々の作品のみならず、絵画の歴史において極めて大きな意味を持っていることをわかりやすく説明している。
単行本、80ページ、東京美術、2012/3/31
もっと知りたいセザンヌ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 作者: 永井隆則
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2012/03/31
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