密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

オールカラー図解 日本列島の未来

著:中島淳一

 

日本は地震が非常に多い国である。近年は都市部に近いところでの大噴火は無いが、富士山の大噴火もいつ発生してもおかしくない。一般になじみはそれほどないかもしれないが、最後は約7,000年前に発生しているカルデラ噴火が再び発生した場合は日本全体が壊滅的な打撃を受ける。

 

本書は、図解を多用しながら、日本周辺のプレートの構造や成り立ちを解説し、歴史上の地震や噴火のメカニズムを推測しながら、今後の可能性について説明している。以下の章立てとなっている。著者は東京工業大学の教授。

 

第1章 日本列島ができるまで
第2章 日本列島下に沈み込むプレート
第3章 地震のしくみ
第4章 日本列島の過去の地震被害
第5章 日本列島の過去の火山噴火
第6章 日本列島の現在と未来

 

2021年に出版された本なので、2024年の能登の地震については書かれていない。日本全土を扱っているとはいえ、著者の注意はどちらかというと太平洋側の方に多く向けられている。ただ、それはこの本の価値を落とすものではない。プレートや断層の構造から考えて日本中どこでいつ災害が起きても不思議ではないからだ。多くのカラー図解によってその理由が構造的に示されている点が本書の特徴になっている。どうしても地震に偏りがちにはなるが、火山噴火のしくみについてもページが割かれている。過去に発生した地震と噴火から将来のリスクを考える上で助けとなる本である。

 

ナツメ社 、2021/1/12、 240ページ