密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

BlockchainとVR/ARのトレンドが生み出す世界。「メタバースとWeb3」

著: 國光宏尚 (著)

 

ITの世界で、Web3.0という言葉が流行っている。ブロックチェーンによって新たにもたらされる世界もしくはその将来の可能性についての技術を一言でまとめたものであり、NFT(Non-Fungible Token)の世界が有名。ただし、Web3.0にはNFTだけでなく、ブロックチェーンを使ったDAO(Decentralized Autonomous Organization )と呼ばれる特定の統治者がいない分散型自立組織とその仕組み全体、DiFi(Decentralized Finance)と呼ばれる分散型の金融、さらにはそれらとVR/ARやメタバースを組み合わせて実現される世界のことを指す。

 

本書は、このWeb3.0に関して、入門者レベルの人にやさしく説明した本である。ITの本であるが、一般の人向けにもかみ砕いて概念や意味を説明することに注力しており、普通にインターネットを普段利用している人であれば大した前提知識はいらない。

 

DAOによってバーチャル空間上に経済価値を作れるようになった。NFTによって所有に紐づけられるようになった。メタバースによって、実在感とそれを超えたコミュニケーションの世界を作れるようになる。それらが融合することで、バーチャルの世界は現在の様々な物理世界の制約や、GoogleやFacebookなどの目がプラットフォーマーにネットを支配された現在の姿よりも次元の違う世界となりうる、というのが著者の主張である。

 

著者は、新規事業の立ち上げや、ブロックチェーン関連のスタートアップに数多く投資してきた経験を持つ。一気に書いたという感じの本で、まとまりや仕上がりということよりも、早く出すということを意識したのではないかと思われる。難しい内容ではなく、Web3.0という言葉が流行っているがどういうものか知りたい、というときに最初に読むには良い本だ。

 

エムディエヌコーポレーション、2022/3/30、200ページ

メタバースとWeb3

メタバースとWeb3

  • 作者:國光 宏尚
  • エムディエヌコーポレーション(MdN)
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