著:進藤 圭
本書の特徴と概要
RPAについて、何がいいのか、どのような効果があるのか、どういう業務に向いていてどういう業務には向いていないのか、どのようなタイプの製品があるのか、それぞれの目的でどういうタイプのものを選べばいいのか、導入プロジェクトはどのように進めればいいのか、といったことを解説した本である。
図表を駆使し、RPAについて全く知識がない人でもわかりやすく書かれていることが特徴である。
RPAとは?どんなものがRPA化できるのか?
RPAはソフトウェアのロボット。単純事務作業の自動化が期待できる。請求書の処理、月末の経費精算、日報送信など。大量の定型処理は事務処理用のロボットにやらせるというもの。
RPAの段階としては、CLASS2と呼ばれるAIを用いたものが一部で出荷されているし、CLASS3と呼ばれるプロセス作成から意思決定まで行うものの登場も将来的には期待されているが、現行ではまだ一定ではない操作が毎回発生する作業には向かない。
3種類あるRPAの実現タイプ
・座標方式:PC上の操作位置を座標でとらえる。高速だが、座標位置が変わると動かなくなる。
・画像方式:ウィンドウやボタンを画像認識で扱う。座標変更には対応できるが、デザインが変わると動かなくなる。
・オブジェクト方式:対象をオブジェクトとして解析するもの。画面変更に強いが、ソースコードを読める知識が必要になる場合もある。
3種類あるRPAの提供方式
・オンプレミス型
・クラウド型
・デスクトップ型
導入から運用のフェーズ
RPAの導入から運用のフェーズとしては以下のようなものがある。それぞれのフェーズの作業をきちんととらえ、現場の協力を得ることが大切。
RPAの製品と選び方
本書では主要製品の一覧を掲載しているが、非常にたくさんある。そのうち特に実績の多いUiPath, WinActor, BizRoboなどはそれぞれ数ページの解説が行われている。また、規模の大小、セキュリティ機能など、自社に合った用途の製品を絞り込むためのポイントについても説明されている。
ユーザヒアリングの重要性
RPAを適用する業務を普段運用している現場の調査は大変重要になる。本書は、ユーザヒアリングのポイントとして以下のようなものを上げている。
・どんな業務なのか
・どういう体制で何人で回しているのか
・どれくらいの頻度で利用しているのか
・どのくらいの時間をかけているのか
・ミスの頻度や困っている理由などロボット化したい理由
・この仕事がなくなったら何がしたいか
RPA導入の効果について
導入効果については、大きくは以下の点から試算して経営陣の承認を得るようにする。また、導入コンセプトを明確にして、周囲をしっかり巻き込む。また、導入後どうなるかの「フューチャープラン」を描く例も紹介されている。
・効果:時間削減、ミスが減る、空いた時間を他の業務に使える
・コスト:ツールのコスト、プロジェクト人件費
フェーズごとのタスク
本書では、設計、実行、運用フェーズにおける作業と留意点についても詳しく説明されている。ここはかなり詳しい。最初の2つのフェーズの概説図を参考までに添付する。
全体的に
実際にRPAのプロジェクトの経験のある人が書いていることがよくわかる内容で、実務的でありながら、よく整理されていて、読みやすく、勉強になった。
単行本、208ページ、インプレス、2018/10/15