著:大野 治
今やたくさん出ているIoTに関する本。著者は長年、日立製作所に勤めていた人である。世の中にたくさん出ているIoTの本と比べた場合のこの本の特徴は、IoTに関する動向はもちろんいろいろ書かれているが、それだけではなく、良くも悪くも著者の豊富な経験に基づく意見がかなり色濃く前面に出ている内容になっている点である。
IoTの市場構造やGEやBoschといった海外事例の話、機械学習やBigDataといった技術のトレンドについてはもちろん書かれている。また、それだけではなく、IoT化で壁になること、既存事業をIoT化するために何をすべきか、モノ作りの現場にソフトウェア思考を取り入れることの重要性、といったところで力強く自説を展開している。
何冊かIoTに関する本を読んできた立場からすると、正直、絶賛すべき内容かどうかは、人による、と思った。IoTの解説書としてはこれでなくても良いと思われるし、難しい本ではないが入門書として一押しかというとそうでもない気がする。著者の独自の視点に基づく主張については一読の価値はあるかもしれない。自分の目的に合致するかどうか、内容を確認してから購入する方が良いと思われる。
目次
第1部 IOTの全体俯瞰
第2部 垂直統合戦略
第3部 水平横断戦略
第4部 モノ重点戦略
第5部 IoTの中で日本・日本企業が生き残るための提言
単行本、208ページ、日刊工業新聞社、2016/12/23