密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義

著:ウォルター ルーウィン、訳:東江 一紀

 

「わたしの目標は、学生たちに物理学を好きにさせることと、物理の世界を違った角度から見せることであり、これは生涯変わらない!教えるものが地平を広げてやれば、学生たちは今まで絶対にしなかったような質問をするようになるだろう」。


 体当たりの実験付き授業の様子をおさめた映像がネットで有名になったというマサチューセッツ工科大学教授の名物講義を本にしたものです。

 講義は、ニュートンの万有引力や、圧力、振り子、虹をテーマにした光の説明、波と共鳴、電気、磁気、エネルギー保存の法則、X線と天文学、中性子星やブラックホールといった内容になっています。


 「わたしたちは常に世界トップレベルでしのぎを削っていたので、競争は熾烈をきわめた。どの分野のどの科学者にとっても、今も事情は変わりない筈だ」。


前半は高校生もしくは大学の一般教養レベルのテーマが中心です。一方、後半のX線天文学については、1970年代には「ひとりでX線天文学のすべてを話すことができた」というくらい教授が得意とする分野で、少々難易度が高めになっています。また、親戚の半数をホロコーストで失った簡単な生い立ちや、芸術と物理についての意見も書かれています。

 

「不確かさの自覚なしに行う測定は、いかなる場合も意味がない」

 

「物理学では、得られた答えが多いほど、ますます多くの疑問が生じてくるのだ」

 
 ついでに、実際のWalter Lewin教授の"For the Love of Physics"という約1時間の講義映像もネットで見てみました。

 鉄球の振り子が顔のギリギリに近づく映像はわかっていても冷やりとしましたし、日没で太陽が赤くなる実験や自転車のロケットも見事です。普段英語に慣れていない方は特に最後のQ&A部分など難しく感じるかもしれませんが、発音は明瞭ですし、実験部分については少なくとも本書を読んでからであれば何をしているのかはわかりますので、そちらも見てみることをお勧めします。実験部分中心にざっと見ただけですが、"Classical Mechanics"や"Electricity and Magnetism"といった講義の映像もあります。

 ネット参照となっている情報も多く、あちこちにURLが載っています。ただ、長いものが多く正確に打ち込むのがちょっと面倒です。本書で紹介されているURLのLinkを出版社のサイトなどでまとめたものがあればいいのに、と思いました。

 

単行本、403ページ、文藝春秋、2012/10/13

これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義

これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義

  • 作者: ウォルタールーウィン,Walter Lewin,東江一紀
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/10/13
  • メディア: 単行本
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