密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々

著:溝口 敦

 

「あるいはグレービジネスから学ぶものなどないと峻拒される方もおられよう。しかしグレービジネスもオモテのビジネスもいかに顧客に満足してもらい、長期にわたって安定的に多く稼げるか、を目的としている。オモテもグレーも同じように経営努力しているのであり、職種は違うものの、両者の間にさほどへだたりがあるとは思えない。ましてグレービジネスは新規ビジネスに対する着眼と企画の点で、オモテの発想と限界を超えている」。


 白と黒の間のグレーなビジネスの世界で大金を稼ぐ人々9人を取り上げた本。多くの会員と会費を集める激裏情報サイトの主宰者。出会い系サイトの帝王。デリヘル王として稼いだ収入から多角事業を展開する事業家。薬物を徹底研究して品質の高いドラッグを提供する危険ドラックの帝王。日本一のイカサマディーラー。徹底した安全管理と遅刻厳禁の管理で建設の下請けからのし上がり、ハイカの偽造やFXで大金を手にし、さらに仮想通貨に目をつけているFXの帝王。関東連合と離別した六本木の帝王。闇金オレオレ詐欺や金塊持ち込みで荒稼ぎする詐欺の帝王。カンヌ映画祭で上映された映画のモデルにもなったヤクザ界の高倉健

 中には、グレーというよりクロでは?と思われる人もちらほらいるが、法的・モラル的な話は脇において、内容自体の面白さということだけでみるなら、この本は面白い。

 ヤクザが子供のころには実はいじめられっ子だったり、デルヘリの経営者は人間関係や女性の扱いに人一倍気を遣う人だったりと、それぞれ波乱のある人生において、知恵と工夫を凝らして実に逞しく生き抜いている人々の姿が描かれている。

 

 また、「悲しいまでに男の性欲やギャンブル欲に携わる仕事は儲かる」「欲望のあるところ強力な需要があり、有望なマーケットがある」というのは、当たり前のことではあるが、そうだよな、と改めて思った。それにしても、こういう人たちを、よくぞまあ、取材できたものである。

 

新書、238ページ、光文社、2016/4/19

 

闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々 (光文社新書)

闇経済の怪物たち グレービジネスでボロ儲けする人々 (光文社新書)

  • 作者: 溝口敦
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/04/19
  • メディア: 新書