著:池上 英洋
ラファエッロの生涯と作品を紹介した本。このシリーズは薄手ながらオールカラーで、作品の掲載が中心になっており、副題にあるように生涯と作品の特徴をシンクロしながら大変わかりやすく説明してくれるので、重宝している。
個人的に本書で特に良かったのは、以下の5つの側面からバランスよく立体的にこの画家の特徴を浮き彫りにしているところである。
- 聖母子の画家
- 大構図壁画家
- 素描画家
- 神話画家
- 肖像画家
そして、それらを通して、大胆ながら秩序正しい構図や、早くからコレクションの対象となっていたという優れたデッサンの能力が支えになっていたこと、特にフィレンッエにおいてルネサンスの3巨匠といわれる残りの2人のダヴィンチとミケランジェロから多くを学んでいたこと、古代の建築や彫刻から貪欲に学んで当時のキリスト教の理念と融合を図っていたことなどが、明快に理解できるようになっている。
バチカンを中心に、壁画作品を詳しく紹介している点も嬉しい。イタリア旅行でこれらのいくつかを見れたので、それを思い出した。また、死後300年にわたって新古典主義の理想とみなされて美術の歴史に多大な影響を与えたことについても5つのポイントで説明してある。薄い本とはいえ、ラファエッロ若葉マーク向けとしては十分で、さらにもっと知りたくなると思える内容だった。
単行本、79ページ、東京美術、2009/12/20
もっと知りたいラファエッロ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) [ 池上英洋 ]
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