著:高野 譲
この著者の「株式ディーラーのぶっちゃけ話」が面白かったので、こちらも買ってみた。株式投資の基本を書いた本。見開きで、右ページが文章、左ページが図解になっている。
読みやすい。一見、初歩的な話が多い。「株っていったい何?」「株取引のしくみ」のような、経験者は読み飛ばしていいページがかなり多い。
しかし、この本がわかりやすいのは、やさしく書いてあるということだけが理由ではなく、著者の感覚が短い言葉に凝縮されているからでもある。例えば、「お金の管理は、株の管理より大切」「相場全体の上下を予想して取引するのは、個別の銘柄を取引するより効率がいい」「株価は夜も動いている」「トレーダーは値動きの方向へ合わせることが大切」といったようなことは、当たり前のようで改めてそうだな、と思った。
個人的に、本書で特に印象に残ったのは、「トレーダーは、常に意識は順張りでなければならない」と説いているところである。多くの投資に関する本では「逆張り」を推奨しているが、そんなポイントを拾える人など実際はまずいない。「買いたい人がいないなら、買わないことだ」「買う理由ができるまでは手をだすべきではない」と、この著者はスパッと言い切っている。
面白いのは、現役ディーラーが書いているだけあって、易しく書いてあっても、デイトレ感覚があちこちからにじんでいること。「トレーダーの取引環境を構築する」というページに載っている環境は、左右に監視用モニターを置き、中央にも作業用モニターと、画面を何面も置いた立派なデイトレ環境である。いずれにせよ、有益な本だった。
単行本、176ページ、彩図社、2014/9/25
【図解】株式投資のカラクリ 初心者でも簡単、経験者にも役立つ [ 高野譲 ]
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