著:清水浩史
全国30の海に面した無人駅を旅行記風に紹介した本。巻頭部分にそれぞれの駅を撮影したカラー写真があり、あとはモノクロ印刷で一部写真入りの文章が続く。
ホームに立つともう海の気配しかないという北舟岡駅(北海道)の近くにはバッタ塚がある。轟木駅(青森)では秘島の久六島への船旅についても書かれている。堀内駅(岩手県)はNHK連続テレビ小説「あまちゃん」に登場した駅。
浦宿駅(宮城)は震災後にホームがかさ上げされているという。越中国分駅(富山)は絶景が続くことで有名な氷見線にある。波田須駅(三重)は、線路の前も後ろもトンネルという山間の海駅。
馬路駅(島根)の近くの琴ヶ浜は鳴き砂の浜である。田井ノ浜駅(徳島)は海水浴場まで徒歩0分。下灘駅(愛媛)は「青春18きっぷ」で有名になった駅。大三東駅(長崎)は有明海に面していて線路とホームが海水面に近い高さにある。
どれも、2015から2016年まで著者が訪れて厳選した駅である。「図鑑」というタイトルは違うのではないかと思われるが、海駅ならではの風情を感じさせてくれる。
単行本、280ページ、河出書房新社、2017/2/18