著:ロッシェル カップ、大野 和基
「(アメリカ人は)英語が流暢に出てこない人(例えば日本人)がいると、その能力を厳しく評価してしまう傾向があります」
「(アメリカ人は)相手が外国人であっても、英語のレベルが高いか低いかでその人を判断するので、英語が上手でなければ、その人自身の評価が下がってしまうこともあるのです」。
アメリカは言葉を重視する社会であり、言葉は大変重要なものであるから、日本人が時々思うような「英語なんて伝わればいい」という考えは間違いであると指摘し、したがって最初はたどたどしくても上品で丁寧な英語の習得を目指すべきだとして、同時に、具体的にどのような英語を使うべきなのかを数々の例文とともに説明した本。
Pleaseをつければいいというものではない。英語はストレートな言語だというのは誤解であり、婉曲な表現はいくらでもあるし、社会的な地位のある人ほどそういう表現を使う。
部下とか上司とか顧客といった相手に関係なく同じく丁寧な言葉を使うべき。日本語の発想でそのまま英語にしない。ネガティブな単語をそのまま使わない。
英語ではきちんと丁寧に説明することが望まれる。語彙の多さは教養の表れとされるので、洗練された英語には洗練された単語を使うようにする。短く、ぶっきらぼうな言い方ではなく、簡潔した文章で話すことが大切。
また、日本語に本音と建前があるように、英語にも、以下のようなものがある、という説明もある。
”little white lie” (善意からくる小さな嘘)
”bending the truth”(事実をゆがめる)
“political correct”(社会的に正しいと思われる表現を使う)
“toeing the party line”(所属組織に沿った発言をする)
“being diplomatic”(角を立てずにうまく話す)
“stretching the truth”(事実を誇張する)
“being vague on purpose”(わざとあいまいに言う)
“reflexive optimism”(反射的な楽観主義)
問題の指摘の仕方、提案の方法、言いにくいことを切り出す表現、確認の表現、noを使わない否定、ほめ方、ほめられた時の答え方、クレームのつけ方、など、いろいろな表現が紹介されている。「リンス」は和製英語なので使わない、といったような単語の注意もある。
今までなかった本かどうかはともかく、英語で幅広い表現を身に着ける必要性を理解するにはよい。
新書、192ページ、集英社インターナショナル、2017/8/7