密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

ブロックチェーンの革新技術~Hyperledger Fabricによるアプリケーション開発

著:清水 智則、田町 京子、上ノ原 勇人、佐藤 卓由、齋藤 新、近藤 仁、平山 毅、笠原 章弘、岩崎 竜矢、小笠原 万値、監修:早川 勝

 

 たくさんあるBlockchainの中でもIBMが後ろ立てになって強力に推している有名なコンソーシアム型BlockchainのひとつであるHyperledger Fabricについて解説した本。タイトルの後ろに「アプリケーション開発」という言葉が付いているように、サンプルアプリケーションコードとその解説がたくさん載っている。

 

 最初の方は、Hyperledger Fabricの概要説明。Hyperledger Fabric Blockchain Network, Hyperledger Fabric Client SDK, Organization, Peer, Orderer, Chaincode, Blockchain, State DB, MSP(Membership Service Provider), Endorsement Policy, Channel, Gossip ProtocolといったHyperledger Fabricの全体と構成要素について書かれている。

 

 第3章からは、実際に動かしてみましょう、という部分になる。環境としては、VirtualBoxにUbuntu, Docker, Python 2.7, Node.js, Go, 他をインストしていくところからの工程が載っている。Hyperledger Fabricインスト後は、公式サンプルであるfabcarを用いて動作確認をする。尚、VirtualBoxの仮想環境を使用しない環境構築例もある。

  Hyperledger Fabricのサンプルとしては、Githubに公開されているMarbles Demoをインストして動かすことで、視覚的に動きを確認する方法が載っている。

  さらにHyperledger Fabricのツールとコマンド群である”platform binaries”の紹介がある。ここには、cryptogen(ユーザ暗号鍵・証明書作成), configtxgen(チャネル作成ツール), configtxlator(RESTサーバ向けチャネル作成ツール), peer(ピアノードの実態・CLI), orderer(オーダラーの実態)が含まれている。そして、 このうちのpeerコマンドの解説が細かく行われている。

 

 第4章ではいよいよHyperledger Fabricのアプリケーション開発である。ただ、途中からだんだん単なるソースコードのべた張りになっており、はっきりいって、わからない。

 

 第5章では、開発支援用のフレームワークであるComposerの説明である。ここも、概要説明の後に、実際のインスト手順がある。Hyperledger Fabric Business Network及び外部からのHyperledger Fabric Business NetworkへのAPIアクセス(Admin API, Client API)、Composer Runtimeの概要などがある。

 

 第6章は、”first-network”というサンプルを用いたHyperledger Fabricの環境構築について書かれている。

 

 Hyperledger Fabric V1.0以降についての初の本格的な日本語の本ということで、大変期待した。ただ、多数の著者の共著ということもあるのだろう、どうもまとまりがもうひとつで、読みにくい。今後、もっとわかりやすい本が出てくることを期待したい。

 

大型本、352ページ、リックテレコム、2018/6/13

~ブロックチェーンの革新技術~Hyperledger Fabricによるアプリケーション開発

~ブロックチェーンの革新技術~Hyperledger Fabricによるアプリケーション開発

  • 作者: 清水智則,田町京子,上ノ原勇人,佐藤卓由,齋藤新,近藤仁,平山毅,笠原章弘,岩崎竜矢,小笠原万値,早川勝
  • 出版社/メーカー: リックテレコム
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: 大型本
 

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