著:北条 かや
タイトル通りの本。読みながら、「この本は男には書けないな」と思った。実際、ところどころ、同性ならではの細やかな女性心理にもとづく意見やトレンドの微妙な移り変わりを踏まえた見解がみられる。例えば、近年「プチ整形」に走る人が増えているところを、化粧のスタイルの変化などと絡めて論じているところとか、ネットで募ったという3人のインタビューと中村うさぎのインタビューから、賛否はともかく、一般にはなかなか公言しづらい本音ベースの意見を引き出しているところはなかなか興味深かった。
ただ、全体の組み立てという視点ではもうひとつのところがある。何より、ところどころマンガなどのフィクションの解説になっている部分は、確かにそれらは名作ではあるのかもしれないが、この取り上げ方では、ちょっと冗長すぎるように思われる。もう少し手間暇かけて、実際の人の声や、アンケートやデータ、生々しい反対意見、あるいは医者へのインタビューなどのリアルなネタをもっと厚めにするべきだったのではないかと思う。整形の歴史とか整形技術の進歩の話しの織り交ぜ方もあまりうまくない。面白いテーマだが、論説文としてはもう一段工夫の余地があったように思われる。
新書、272ページ、講談社、2015/5/26