著:前田育男
「信じるのはただ作品の力である。ただひたすら美しく、圧倒的で、目にした瞬間にその他大勢の製品がすべて色あせて見えるような傑作を作りたいと願っている私は、確かにとびきりのロマンチストであるのだろう」。
マツダのデザイン部門をひっぱってきた責任者が、デザインに賭けてきた思いと考え、そして、一時期の低迷から立ち上がり世界中から称賛されるマツダ車のデザインが生まれた経緯について、自身の歩みも織り交ぜながら述べた本。
漢字でシンプルに言い表すことにこだわり行き着いた「魂動デザイン」。
動物図鑑を読み漁り、形を突き詰める。
日本的感性を突き詰める。
クルマには背骨が必要、軸を通す。
デザインをきっかけにブランド価値を高める。
市場調査を止め、ビジョンモデルの市場調査をやる。
ブランドで一番重要なのは、最高の作品を作ること。
ブランドスタイルを一元化する統括部署を作る。
カラーも造形の一部。
人を動かすためには感動させる。
「好きに作ってみろ」と、まず各自にやらせてみる。
職人たちの評価を改善する。
デザインの決定権、イニシャチブをマーケティング側からものづくりの側に移管する。
他業種とコラボする。
自分たちの原点に立ち戻る。
ざっと、このようなことが書かれている。父親もマツダのデザイン担当だったそうだ。共に仕事をしてきた人たちのコメントも書かれている。また、日本のモノづくりが細かな機能にこだわる一方でデザインの優位性に欠けることを嘆いているところもある。終盤は、対談になっている。
新書、248ページ、光文社、2018/5/16