密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

ハッシュと暗号技術の基本的な考えを丁寧に説明。『ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ』

著:岡嶋 裕史

 

 ブロックチェーンの特徴を、主に暗号とハッシュ関連の基本技術を中心に解説した本。ブロックチェーンはたくさん種類があるが、Bitcoinの技術が中心になっている。ブロックチェーンには様々な種類があるが、こういうタイプのブロックチェーンがあるといった紹介本ではない。

 

 ハッシュ。公開鍵暗号方式。デジタル証明書。認証局。タイムスタンプトークン。マイニングプール。単一障害点。UTXO。基本的に数式は使われていない。図と文章による解説である。

 

 ブロックチェーンの技術については既にいくつもの種類の本がある。もう特別新しい技術ということではないので、どれだけ上手にわかりやすくあるいは深く説明しているか、ということがポイントになる。この本は、ハッシュと公開鍵暗号の仕組みを一般向けにわかりやすく、しかし肝心なところは丸めたり飛ばしたりせず、ページ数をかけて丁寧に説明することに腐心して書かれているところに特徴がある。

 

 スマートコントラクトについてはあまり書かれていない。Proof of Concept以外の方式についてもそれほど書かれていない。Rippleのようなタイプについてもあまり書かれていない。

 

 終盤では、可能性についてだけでなく、マイニングによる無駄やパフォーマンスといった課題についても力を入れて説明している。ブロックチェーンという言葉は既に社会に広がっており、実は基本的な課題そのものは当初からそれほど変わっているわけではないのだが、バラ色のように語られた時期から潮目が少し変化しつつある。コンソーシアム型にすればビットコインのようなパブリック型の問題のいくつかは解決できるが、ブロックチェーンならではの独創的な特徴が減じられて今までのデーターベース中心のシステムと比べた差異が小さくなるジレンマがあることもわかる。

 

新書、256ページ、講談社、2019/1/17

ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ (ブルーバックス)

ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ (ブルーバックス)

  • 作者: 岡嶋裕史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/01/17
  • メディア: 新書