密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

ファシリテーション入門〈第2版〉 (日経文庫)

著:堀 公俊

 

 ファシリテーションとは、集団による問題解決、アイディア創造、合意形成、教育・学習、変革、自己表現・成長といった、知識創造活動を支援し促進する活動だという。ファシリテーターは、コンテンツではなく、プロセス(過程)を舵取りする。そのためには次の4つのスキルが必要だとされている。

 

場のデザイン:場をつくり、つなげる

・対人関係のスキル:受け止め、引き出す

・構造化のスキル:かみ合わせ、整理する

・合意形成のスキル:まとめて、分かち合う

 

 ファシリテーターは、円滑なチーム活動が行われるように、「場」をデザインする。そのためには、以下の5つの要素を設定して共有するようにする。このプロセスのデザインにはメンバーも巻き込むようにする。

 

・狙い(目的):なんのためにここに集まったのか?

・ゴール(目標):目指すアウトプット及び到達点。終了条件。

・プロセス(手順):いきなり解決策は出ないので、ひとつひとつ議論を積み上げるためのアジェンダを用意する。

・ルール(行動規範):「発言は3分以内に」「全員が平等に発言する」など、その場の約束事項

・メンバー(役割分担):必要最小限に絞る

 

 5つの要素の中で一番熟練を要するのが、プロセス(手順)の設計である。よく使われるパターンとしては、以下の7つがある。それぞれコツがある。

・発散/収束型プロセス

・同意形成型プロセス

・問題解決型プロセス

・目標達成型プロセス

・起承転結型プロセス

・体験学習型プロセス

・組織変革型プロセス

 

 ファシリテーターは信頼できる人でなければならない。その信頼とは、ファシリテーターとしての「能力への信頼」と、何・誰のためにやっているのかという「意図」への信頼である。

 

 最初に固い空気を和らげるには、アイスブレイクをすればよい。自己紹介でもいい。30秒程度で一言ずつ発言を回してもらう。進行においては、聞く力が重要で、適切なリアクションで応える。特に、要約は有効。

 

 

 人と人がかかわる場では、以下の2種類の戦いが繰り広げられる。特に、心理戦は表情などの非言語に表れやすく、下手に置き去りにしてしまうと後でしっぺ返しがくる。口調・表情・態度を観察し、読み解く。本音は休憩時間に現れたりするので、注意しなければならない。

・論理戦:思考、判断、損得

・心理戦:好悪、感情、関係、価値、自尊心

 

 ファシリテーションには、たずねる力も重要になる。議論の進み方に応じて当意即妙の質問ができるかは重要である。質問には以下の5つを問いものがある。

・事実/経験:何がありましたか?どんなことをご存知ですか?

・知覚/感情:どのように感じましたか?どんな気持ちがしましたか?

・思考/考察:どのように考えますか?なぜそうなるのでしょうか?

・価値/信条:なにが大切ですか?何をすべきなのでしょうか?

・決定/行動:何をこれからやりますか?どうしたいですか?

 

 質問はオープンクエスチョンで発散させ、クローズドクエスチョンで絞る、というような使い方をする。質問の方向も、以下のように、ちょっとした聞き方で変わる。

・拡大:たとえば、他に

・収束:要は、なかでも

・否定的:なぜ、どうして

・肯定的:どうすれば

・仮定:仮に、もし

・強制:逆に、あえて

 

 意見を引き出す方法については、ブレーンストーミング、手上げアンケート、ペアインタビュー、ダイアログなどがある。

 

 

 全体を通して誰もが認める筋道になるように、理論的に意見を整理することも重要になる。

・お題、問題、テーマ:論点は問い(疑問文)で表す

・根拠、理由、原因、基準:客観的な理由を挙げる、複数の根拠を出す

・結論、意見、判断:言いたいことを明確に表現、あいまいな表現は使わない

 

 フレームワークの活用も有意義な場合がある。3C, SWOT, 4P, STP, PDCA, 5S, KPT, ABC, GROW, PMといった手法である。また、合理的で納得感のある決定をする必要があり、そのためには、決め方を決めてから決定する。創造性を求める場合には多様性も重要で、健全な対立をおこし、平和的に収束させ、成果を分かち合う。

 

 ファシリテーターとしての基本的な心構えとしては、中立であることはもちろんだが、傍観者になってはならず、あくまでも当事者としてかかわる強い意志が必要であるとされている。

 

新書、208ページ、日本経済新聞出版社、2018/8/11

ファシリテーション入門〈第2版〉 (日経文庫)

ファシリテーション入門〈第2版〉 (日経文庫)

  • 作者: 堀公俊
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/08/11
  • メディア: 新書
 

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