著:西川 京子
依存症には大きく分けて2種類あるという。アルコールや薬物のようなモノに対する依存。もうひとつは、ギャンブル、窃盗、ネットゲーム、買い物といった行動や過程に関する依存である。依存症からの回復には、医学的な療法、自助グループへの参加、家族の支援といったことがあげられる。時間も必要になる。
依存症についての本。家族の目線や支援を重視して書かれていることが特徴である。かたい書きぶりだが、薄い本で、字も大きい。Q&A形式になっている。
依存対象に対する渇望。適度でやめられなくなるコントロールの障害。離脱症状と呼ばれる禁断症状。同じ量ではやめられなくなり耐性が上がる。依存が生活の最優先になる。大切なものを失うとわかっていても繰り返す。
依存症は本人も苦しいが、家族も苦しい。否認、自己嫌悪・罪悪感、無力感、絶望感、被害感といった心理を本人も家族も抱くこともある。依存症の家庭に育った人は、アダルトチャイルドと呼ばれ、社会適応の問題をかかえることもある。
依存症患者に対して、「一度、突き放す」というようなアドバイスが行われていたこともあるが、それは間違いだという。周囲が正しい知識を持ち、信頼と尊重と責任を重視して取り組み、支えることが重要だという。
なお、コミュニケーションにおいてはいくつかの学説が紹介されているが、これらは依存症に限らず、適用できるような内容である。
アルコール依存症家庭の夫婦のコミュニケーションの研究、立木茂雄(1992)
・会話は友好的な調子で。
・相手の気持ちを肯定的に受け止める。
・相手の行動を肯定的に察して信頼を示す。
・相手の面目が立つ具体的な解決策に議論を絞る。
ロバート・メイヤーズのDRAFT
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コミュニケーションの失敗の原因 |
コミュニケーションの成功の秘訣 |
1 |
先に言いすぎる |
先に先に口を出さずに、後出しする |
2 |
言葉数が多すぎる |
相手より言葉数を少なくする |
3 |
正しいことを言いすぎる |
正論で人は変わらないと悟る |
4 |
答えを出しすぎる |
答えを出すのは相手だと心得る |
5 |
相手のあらが見えすぎる |
相手のあらの指摘は慎重にする |
6 |
先回りして考えすぎる |
先回りして考えないようにする |
7 |
感情的になりすぎる |
「こちらは理性的」と自分に言い聞かせる |
8 |
起きてもいないことを恐れすぎる |
ことが起きてから動こう |
9 |
相手に事実を見せていない |
相手に事実を見せる |
10 |
無造作に話しはじめる |
大事な話はタイミングを見て話す |
家族の手記や、依存症の家族が逮捕されてしまったといったような深刻な問題に対する質問への回答もある。
単行本、134ページ、解放出版社、2018/4/20