著:唐木 みゆ、監修:矢島 新
日本画の見方について解説した本。「マンガでわかる」とあるように、要所の説明において文章だけでなくマンガが用いられている。一般向けにやさしく書かれており、特に前提知識は必要ない。また、一般紙であって印刷も画集に比べればそれほど上質というわけではないが、オールカラーで多くの作品が紹介されており、視覚的にも理解しやすくなっている。最初に、日本画の特徴として以下の5つが挙げられている。
1.デザイン性: リアルさより、時間や空間をデザイン化して画面に収める
2.装飾性:繊細で装飾的な技法によって美を追求
3.表現性:構図や大きさの誇張を使ってダイナミックに画面を作る
4.ユーモアのセンス:鳥獣人物戯画のような擬人化やユーモア
5.素朴な味わい:中国や西洋の影響を受けた当初はキッチリ描くが、時間が経つとゆるくなる
飛鳥~室町時代の宗教画を皮切りに、中国から取り入れられた技法を使い、やがてやまと絵として独自の美意識が光る作品が登場していった流れから、日本絵画の伝統と発展の様子が時代に沿って書かれている。日本の文化全体にいえることだが、昔は中国、近代は西洋と、海外の優れたものを取り入れながら、やがて独自の工夫を重ね、個性的に発展してゆく。日本の絵画は、まさにそんな日本の文化の特徴を地でいくような経緯で世界に誇る作品を生み出してきたことがわかる。
単行本、223ページ、誠文堂新光社、2017/4/3
マンガでわかる「日本絵画」の見かた 美術展がもっと愉しくなる! [ 矢島 新 ]
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