密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

具体例が豊富。英語で書く力をつけたい人に好適。『ネイティヴチェックで鍛える ビジネス英文ライティング 第2版』

著:デイヴィッド・セイン

 

 2003年に発売されたものの改訂新版。この著者は大変多くの本を出していて、正直、中には少し「?」なものもあるのだが、この本はとても良い。なんといっても、添削例が豊富である。

 しかも、どこが、なぜ、いけないのか、どう表現すればいいのか、解説が具体的で、大変丁寧である。さらに、単なる間違いの指摘というレベルだけに留まらず、日本人にはわかりにくい、表現の選択の違いがもたらす微妙なニュアンスの違いとその効果に言及しているところがたくさんあるのが有難い。

 全体は3章構成。第1章は、一般的なEメールやビジネス文書の作法について書かれてある。第2章は、状況別の短文添削例。それ以外にこのような表現ができるというのも各添削文に対して4から7つ載っている。第3章は文書丸ごとの添削例となっている。

 著者が最初に述べているように、英語の4技能(読む、書く、聴く、話す)のうち、ネイティブスピーカーにとってもっとも難しいのは上手に書けることであり、ネイティブスピーカーの子供たちでさえもたくさん時間をとってこのスキルを学んでいくという。だから、日本人の英語学習者にとっても、たくさん書くことは必要であり、さらにそれを添削してもらうことはとても重要な筈だという。

 しかし、残念ながら、普段からそのようなチャンスを豊富に確保できている人はそう多くは無いと思われる。せいぜい論文や重要文書を作るといった限られた機会にお金を払ってネイティブチェックをお願いし、普段のEメールのやりとりなどでは不安を感じながらサンプルを見ながら自己流でアレンジして済ましているという人の方が多いのではないか。だから、こういう具体的な添削例を豊富に示しているものは、とても参考になる。

 実際、日本語訳をまず見て、自分だったらこれをどのような英文で書くだろうかとシュミレーションしながらじっくり読んでみたが、非常に勉強になった。おススメ。

 

単行本、255ページ、ディーエイチシー、2013/4/15