密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

読んでみれば「なーんだ」という内容だが、おかしなことが書いてあるわけではなく、参考にはなる。『伝え方が9割』

著:佐々木 圭一

 

 言葉の表現技術の重要さとそのテクニックについての本。著者はコピーライター。作詞や大学非常勤講師もやっているという。伝え方は「技術」であるという主張に基づいて書かれているため、内容が具体的である。最初に骨子をまとめた折り込みがついており、その通り以下のポイントに沿って解説が行われている。

1「イエス」に変える3つのステップ
・自分の頭の中をそのままコトバにしない
・相手の頭の中を想像する
・相手のメリットと一致するお願いを作る

2「イエス」に変える7つの切り口
・相手の好きなこと:「デートしてください」→「驚くほど旨いパスタどう?」
・嫌いなこと回避:「芝生に入らないで」→「芝生に入ると、農薬のにおいがつきます」
・選択の自由:「デートしてください」→「驚くほど旨いパスタの店と、石釡フォッカチャの店どちらがいい?」
・認められたい意欲:「残業お願いできる?」→「きみの企画書が刺さるんだよ、お願いできない?」
・あなた限定:「自治会のミーティングに来て」→「他の人が来なくても、斉藤さんだけは来てほしいんです」
・チームワーク化:「勉強しなさい」→「一緒に勉強しよう」
・感謝:「領収書をおとしてください」→「いつもありがとうございます。領収書お願いできますか」

3「強いコトバ」をつくる5つの技術
・サプライズ法:「そうだ 京都、行こう。」
・ギャップ法:「これは私の勝利ではない。あなたの勝利だ」
・赤裸裸法:「くちびるが震えてる。あなたが好き。」
・リピート法:「今日は暑い、暑い」
・クライマックス法:「ここだけの話ですが、私はカレーが好きです」

「メールは感情30%増量でちょうどいい」「10分で『強い長文』をつくる技術」というように、長文やメールに応用する場合を想定した記述もある。やさしく、読みやすい。この本自体も、伝え方の技術を意識して書かれており、小気味よい文体である。

 

単行本、212ページ、ダイヤモンド社、2013/3/1

伝え方が9割

伝え方が9割

  • 作者: 佐々木圭一
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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