著:長友 佑都
「どんな夢でもいいから、そこに向かって走り続けることが大切だ。濃くない人生にしてしまうことなんて考えられない」。
日本代表のSBで、インテルでプレーしている長友佑都の本。移籍後、不調を経験したり試合で使われなくなったり、何度も監督が替わったりと、いろいろなことをくぐり抜けたシーズンやそれ以前の経験学んだことについて振り返っている。ポイントは「心」である。メンタルコントロール、出会い、人、運命、感謝。
心に問題があるときには、プレーにも出る。心に余裕があると周りも見える。インテルにはそもそもメンタリティにおいても優れた選手が多く、一流のサッカー選手になるには一流の人間になることも重要だと知る。そのために、いろいろな工夫を重ねる。運を引き寄せるのも放すのも自分次第で、その鍵になるのはやはり心。「世界一のサイドバックになる」という目標を掲げ続け、様々な困難も糧にして進む長友の前向きな姿勢が良く伝わってくる。
一流のチームメイト、特にサネッテイについてのコメントが多い。人格者である彼が一度だけスタンドに向かって怒ったのを見かけたが、それは自分ではなくチームメートの悪口を言われたから。移籍してしまったエトーもそうだが、自分で財団をもって社会に貢献しようとしている選手も多いという。
日本代表の遠藤保仁、中村俊輔、長谷部誠のことについても書いてある。カズは年下の長友にいつも敬語で激励のメールをくれる。そして、家族の支え。オランダと初めて戦ったときの衝撃。全体的に長友選手の近年の歩みや成長に触れるということでは興味深い内容になっていると思うし、心の持ち方やその重要性という点で読者にとっても得るものがあるかもしれない。今、日本のサッカー界からは優れたSBが次々登場しているが、その先頭を引っ張って今後のさらなる飛躍を期待したい。
単行本、202ページ、角川書店、2012/5/25
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