密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 (幻冬舎文庫)(日本代表長谷部選手の本)

著:長谷部 誠

「自分自身の内なる弱さを認め、それと向き合っていきてゆくというのが自分に向いていると考えます」。


サッカー南ア大会で日本代表のキャプテンを務めた長谷部誠選手の本。このタイトルはけして売るためのツリではない。長谷部選手にとって「心」とは、エンジンの調整やピアノの調律のように、こまめにメンテナンスして整えるものなのだそうだ。

毎日30分、一人で静かに過ごす時間を作る。試合で使われなくても、自分のどこに問題があるのか、どうしたら使ってもらえるのかを考えて観察する。読書もする。競争も糧にする。

自己管理も徹底している。練習の前日にお酒を飲む選手は筋肉系のトラブルが多いことに気付いてから、しっかっり飲むべき時とそうでない時をコントロールしている。レッズ時代のスタッフのアドバイスや、あこがれの三浦和良選手がしっかり自己管理できているのを目の当たりにした影響もあるそうだ。

それにしても、本当に真面目な青年だねえ。インタビューやプレーからうかがえる人柄が、よりストレートに伝わってくる。中学時代に受験勉強に嫌気がさしてゲームセンターへ通っていたことが親にばれたことへの反省とか、はかない純愛とか、なんかあまりにも純朴で、そんな程度のことは誰だってあるから大丈夫だよと、思わず声をかけたくなった。

サッカーに詳しくなくとも読める。ただ、いろいろな選手や監督の名前や特徴が出てくるので、そういう部分は多少サッカーの知識がある方が楽しめるだろう。もちろん、ワールドカップ南ア大会についての記述もある。個人的には、アジアカップでのPKをめぐる審判とのやりとりのエピソードが面白かった。実にすがすがしい読後感の一冊だった。

 

文庫、335ページ、幻冬舎、2014/1/29

 

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 (幻冬舎文庫)

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 (幻冬舎文庫)