密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

勝利のルーティーン 常勝軍団を作る、「習慣化」のチームマネジメント (ワールドカップ日本代表西野監督の本)

著:西野 朗

 

 「名将」という言葉を使ってもいいと思う。Jリーグ歴代最多勝利記録を持ち、かつてはU-23日本代表を率いてアトランタオリンピックでブラジル五輪代表を破る「マイアミの奇跡」を演じたこともある西野朗氏の本。自らの監督経験に基づいた信条や方針、数多くのエピソードが紹介されている。

 監督として必要な要素として、洞察力、コミュニケーション力、想像力の3つを挙げている。試合や練習のときだけでなく、食事のときの様子や読んでいる本や聴いている音楽なども通じて選手ひとりひとりの個性を観察する。

 監督室にはこもらず、他のコーチと共に大部屋に自分の机を置く。試合で使われない選手に対してきちんと理由を説明する。コンディションは細かくチェックして胃腸に問題があったりしても使わない。時間を守らないことには厳しく対応する。

 外国人選手の選び方や、トラブルへの注意。先発メンバーを決めるタイミングと伝え方。練習日程のルーチン化。ヘッドコーチを置かない理由についても語っている。

 五輪で守備的に戦ったことが批判を浴びたこと。西野監督本人は、2試合目のナイジェリア戦において田中誠選手の負傷による途中交替が無ければ、という思いが今でもあるようだ。選手交替については、それが当たったことはたくさんあるが、思い出すのは失敗したときのことだという。

 ヒディングオシムのスタイルから学んだこと。10シーズン率いたガンバ大阪時代のことは、そのポゼッション・スタイルと共に最も多くを占めており、遠藤、仁川、橋本、加地、宮本など多くの名前が登場する。柏レイソル時代や、堅守とカウンターのチームスタイルを少しづつ変えようとしていた矢先に解雇されたヴィッセル神戸時代のことも触れている。

 個人的には、Jリーグの試合でもいくつか記憶に残っているゲームはあるが、なんといってもアトランタ五輪と、マンチェスター・ユナイテッドに果敢に挑んで激しい点の取り合いとなったクラブワールドカップ準決勝の試合はよく覚えている。

 その後名古屋を率い、現場から退いた後、日本代表のサポートに回り、ハリルホジッチ氏の解任によって、日本代表の監督としてワールドカップに挑むことになった。一旦現場を離れたし、この準備期間でどこまでできるかはわからないが、やるとしたらこの人しかないだろう。決勝トーナメント進出を期待している。

 

単行本、197ページ、幻冬舎、2014/1/23

 

勝利のルーティーン 常勝軍団を作る、「習慣化」のチームマネジメント

勝利のルーティーン 常勝軍団を作る、「習慣化」のチームマネジメント

  • 作者: 西野朗
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/01/23
  • メディア: 単行本