密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方

著:前野 隆司

 

 感動のある人生は豊かである。モノ中心から人間中心に考え、製品やサービスを開発する際にも人を感動させられるものを開発するようにすべきという観点から、感動について語っている本。

 

 ニーズ志向、顧客満足重視、人間中心設計、ユーザのフィードバック重視、アジャイル開発、デザイン思考、ユーザエクスペリエンス、ユニバーサルデザイン、インクルーシブデザイン。昨今のこのようなトレンドには、すべて、モノありきではなく人間ありきの思想がある。

 

「コモディティから製品、サービス、そして経験へと進化するのが経験経済の本質」

 

 

 B・J・パインIIとJ・H・ギルモアの「経験経済」(2005年)は、経験経済を作り出す本質的な手法として、「4Eフレームワーク」を提唱している。それは、以下のものであり、これらのいくつかが組み合わさってひとつの経験を作っているものが多いとしている。

・娯楽(Entertainment)

・教育(Education)

・脱日常(Escape)

・美的(Ecstatic)

 

また、シュミットの経験価値マーケティングによると、経験価値は以下の5つに分類できるとしている。

・Sense:五感で感じた価値

・Feel:感情の高ぶりとして感じた価値

・Think:知見の拡大として感じた価値

・Act:体験の拡大として感じた価値

・Relate:関係性の拡大として感じた価値

 

著者は、これをベースに「感情のSTAR分析」というのを提唱している。以下の4つの組み合わせに分類したものである。

 

・Sense + Feel:五感で感じた後に感情の高ぶりとして感動

・Think + Feel:知見の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動

・Act + Feel:体験の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動

・Relate + Feel:関係性の拡大として感じた後に感情の高ぶりとして感動

 

 そして著者は、この4つの分類に従った例をいろいろ示している。また、分析だけでなく創造にも使えるという。

 そんなに難しい内容ではなく、ページ数も多いわけではない。ただ、使いこなすのには慣れがいるかもしれない。

 

新書、200ページ、講談社、2019/9/18

感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方 (講談社現代新書)

感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方 (講談社現代新書)

  • 作者:前野 隆司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 新書