著:森 昭
一時よく売れたようなので、読んでみた。この本のタイトルは明らかにミスリードを狙っている。正確には、「歯はみがいてはいけない」ではなく、「食後すぐ歯をみがくのはよくない」である。ポイントは、以下の4点になる。
・みがくもの:食べかすではなく歯垢
・みがくところ:歯と歯の間
・みがく道具:デンタルフロスや歯間ブラシを使う
・みがく時間:起床後と就寝前
寝ている間に口内には10gくらいの菌が繁殖しているので、起きたらすぐ水を飲んだりしない方がいい。唾液の重要性の説明。口内の衛生は心筋梗塞や糖尿病といった成人病にも関係する。口呼吸はよくない。
キシリトール配合ガムといっても糖分がたくさん入っているものはよくない、キシリトール50%以上のものを選ぶこと。
磨き粉は歯を研磨するので、たまにしか使わないようにする。歯ブラシにも菌が繁殖するので、あまり長く使い続けない。歯科医のあり方についても書かれている。
一応、ネットで探してみると、本書で特に注目を浴びている食後の歯みがきの是非については、専門の歯科医でもいろいろな意見があるようだ。ただ、プラークコントロールの重要性、就寝前の歯みがき、デンタルフロスの使用や歯間もしっかりきれいにする、研磨剤入りの歯磨き粉は使わない、といったことについての反対意見はほとんど見当たらない。いずれにせよ、口内の健康を考える上で、参考になる本ではあった。
新書、192ページ、講談社、2016/8/19