密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

白内障・緑内障・黄斑変性症を自力でぐんぐん治すコツがわかる本

監修:高山 東洋、 編集:主婦の友インフォス

 

 白内障緑内障・黄斑変性症について説明し、食事や簡単な運動や体操で対応する方法について解説した本。複数の医師を含む多くの担当者の原稿を集めた形で構成されている。

 

 率直にいって、「白内障緑内障・黄斑変性症」のような病気を、「自力でぐんぐん治す」というのは、誤解を招く表現だと思う。実際、本書の説明の中には、科学的な根拠が十分とはいえないものがたくさんある。医学的に正確な情報といえるのは、第1章だけだといっていい。

 

 「目は、一般に想像されているほど疲れやすい器官ではありません。…(中略)…明るさや姿勢に気をつけても目が疲れる場合の主な原因は、屈折異常です。遠視や禁止、乱視など、目のピントがうまく合っていない状態で読書や勉強、手元を見る作業を続けると、目の筋肉が疲弊するのです」(医学博士 高山東洋)

 

 「臨床の現場から見ても、高齢であっても全身どこにも疾患がなく、肌も若々しい人で、白内障緑内障の進行が同世代の人たちにくらべて早いという人はいません」。(中目黒眼科医院長 杉本由佳、本書より)

 

 ただ、この本を読んで、参考になった点がひとつだけある。それは、目の健康は、目だけにとらわれて考えるのではなく、糖尿病をはじめとする成人病対策を含む体の全体のケアや健康維持という点からとらえるべき、ということである。実際、食べすぎや食事の内容に気を配る、緑黄色野菜をたっぷり摂る、体を動かす、マッサージやストレッチをする、紫外線を避ける工夫をする、タバコは吸わない、夜更かししない、といった多くの対策は、目の病気に限ったことではないからだ。

 実際、複数の医師が、あくまでも経験的な話ではあるが、内臓疾患や全身の健康状態と目の健康には、何らかの関係があると感じているようである。

 また、白内障緑内障は、老化との関係が深い。つまり、アンチエイジングは目の健康維持とも密接に関連する。

 

そいう意味では、この本に書いている青汁とかニンジンジュースとかツボの押し方などということは、やってもそれはそれで健康に害のあるものではないだろうが、たぶんもっと重要なことは、部分やピンポイントだけにとらわれて考えない、ということだろう。体の神経も血管も、それぞれの部位が完全に独立して存在しているわけではない。内臓や神経や筋肉も含め体全体の健康維持やアンチエイジングという枠の中で目の健康についても考えた方がよいのだろう、と思った。

 

目次

1 完全図解 白内障緑内障、黄斑変性症を治す最新医学知識
2 目の老化予防食 食べるだけ、飲むだけで衰えた視力をここまで回復できる
3 白内障 不快な目のかすみを改善、視界をクリアにできるちょっとしたコツ
4 緑内障 眼圧が上昇し、視野が徐々に欠けていく緑内障を自力で改善するコツ
5 黄斑変性症 物がゆがんで見える、視野も欠ける“黄斑変性症”を防ぐ特効食品と簡単動作
6 老眼 日々のちょっとしたコツで老眼はここまでストップできる

 

単行本、159ページ、主婦の友インフォス、2017/8/9

 

白内障・緑内障・黄斑変性症を自力でぐんぐん治すコツがわかる本

白内障・緑内障・黄斑変性症を自力でぐんぐん治すコツがわかる本