著:プレジデント書籍編集部、監修:宮瀧交二
改元のタイミングでいくつか登場した元号に関する本のうちの一冊。最初に、元号とはという説明があり、その後は日本の歴史を元号ごとにたどった内容になっている。
令和が決まる前に書かれていて、年号の決定方法については書かれているが、令和そのものは登場しない。
元号は中国で誕生した。日本では大化が最初とされるが、平成までに247(令和も入れると248となる)登場しており、これは唐の建国から元号制が廃止された辛亥革命までの中国の189より多い。
ただ、中国では同じ年号が複数つかわれている例があるが、日本では重複はない。後醍醐天皇が光武帝の漢王朝再興にあやかってつけた建武以外は、日本の年号は中国との重複もない。ただ、大正はかつてベトナムで使われていたことがある。
最初の部分以外は、基本的に元号順に日本史が並んでいるだけである。普通の日本史の本と違うのは、元号ごとに区切られ、(西暦での)期間、天皇、主な出来事が大きめに書かれているくらいである。正直、元号についての説明だけなら、Wikipediaの方が情報量は多い。
興味を引いたのは、かつて4文字の年号が続いた時期があったこと。「天平」(729-749)の後の、「天平感宝」(てんぴょうかんぽう)、「天平勝宝」(てんぴょうしょうほう)、「天平宝字」(てんぴょうほうじ)、「天平神護」(てんぴょうじんご)、「神護景雲」(じんごけいうん)である。ちなみに、どれもMS-IMEで一発で漢字変換された。
南北朝の時代には、北朝と南朝でそれぞれ年号を定めていたので、ダブルで年号が増えている。しかも、それぞれ別々の時期に短期間で改元が行われており、この期間でかなり数が増えたことがわかる。
また、江戸時代最後の天皇である孝明天皇は、弘化、嘉永、安政、万延、文久、元治、慶応にまたがっている。
金や亀や白鹿の献上、彗星、疫病の流行、飢饉、大乱、大火という理由の他、地震や噴火もきっかけになっている例がある。日本は本当に災害の多い国だな、と実感する。地震や火山噴火は今後もたくさんあるだろうから、この国に住む人は、その可能性を常に念頭に置いて生活する必要があると、改めて思った。
単行本、312ページ、プレジデント社、2019/3/13
元号と日本人 元号の付いた事件・出来事でたどる日本の歴史 [ 宮瀧交二 ]
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