著:神田昌典
「新装版」といっても、だいぶ古い本である。一定の熱狂的な支持者がいる神田昌典氏の出世作。キャッチーな言葉が並び、ところどころため口で、いかにも自己啓発系。信者にとってはたまらないかもしれないが、そうでない人には率直に述べて胡散臭さがする本なので、若いときは読まなかった。
ただ、古い本であるにも関わらず、起業した知人が勧めていたので、こちらも丸くなってきたこともあり、じゃあ、読んでみるかと思って古本でお安く買った。
「やりたくないこと」を書く。人生から消し去りたい、嫌なことをできるだけたくさん。ちゃんと、紙に書く。正直に、できるだけたくさん。
それから、今度は「やりたいこと」をたくさん書く。何も制限は加えない。やりたいと思うことを全部書き出す。実現しそうもないことでも大丈夫。夢みたいなことでも自分の能力以上と思われることでもOK。
そして、「やりたくなこと」「やりたいこと」の決着をつける。誤解のないように書くと、やりたいことだけをやればいいというのではない。さらに、自分のミッションを明確にする。紙に書く。自分があと半年の命だったら何をするか問いながら?
目標を紙に書き、毎日ながめ、クリアファイルに入れて持ち歩く。その目標に近づくには何をすればいいのだろう、何が必要だろうかと毎日考える。
長期の目標と短期の目標を設定する。特に、短期の目標は以下を満たすものにする。
1.S(Special):具体的である
2.M(Measurable):計測ができる
3.A(Agreed upon):同意している
4.R(Realistic):現実的である
5.T(Timely):期日が明確
そして、毎日、行動できる目標を10個書き、できる範囲でやっていく。
自分に都合のいい肩書を持つ。フォトリーディングをする。感情マーケティング。お金を溺愛する。
決断は、思い切らない。ではどうするか。現在にも「いい面」「悪い面」がある。将来にも「いい面」「悪い面」がある。その現在の「いい面」「悪い面」、未来の「いい面」「悪い面」の合計4つの感情について考えることでシナリオを作っていく。
1.将来の「いい面」に対する感情
2.現在の「いい面」に対する感情
3.将来の「悪い面」に対する感情
4.現在の「悪い面」に対する感情
次に、それぞれの感情への対応方法を考える。例えば以下のように。
1.現在の「いい面」をどう残すか?
2.将来の「悪い面」をどう回避するか?
3.将来の「いい面」をどう最大化するか?
最後に、成功のダークサイドを知る。お金持ちになったところですべて解決するわけではない、といったようなことを。
ポイントになっているのはとにかく紙に書くことである。今の言葉でいえば、目標の見える化ということになるだろう。目標設定も重要だし、短期の目標設定やそれを具体的に行動にすることも重要だ。キャッチィに、たいそうに書いているだけで、フォトリーディング以外は、意外にまともな方法だ。それで実際にどこまで成功するかはわからないが、まあ多くの人がやろうと思えばできないことではなさそうだ。
単行本、257ページ、フォレスト出版、新装版、2011/10/22