密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)

著:藤岡 換太郎

 

 なかなか面白い本だった。少なくとも、かつて教科書等でいろいろな岩や石の種類をみてクラクラしてあまり興味を持てなくなった経験がある人は、これを読むといくらかすっきりした気持ちになれるかもしれない。岩石は様々な種類に分類されるが、その中でもっとも重要なのは以下の3つであり、まずはこの3つに集中してその特性や成り立ちをみてゆくと、岩石の本質や地球が見えてくるという趣旨の本である。

1.橄欖(かんらん)岩→マントル
2.玄武岩→海洋の地殻
3.花崗岩→大陸の地殻

 この3つの岩石は、それぞれ異なった性質を持つ。また、この3つは順番も大切で、著者によると、この順番で枝分かれして地球上にできたのだという。地球上に多い順もこの順番になる。

 ただし、橄欖岩はマントルなので地上では滅多にそのままでは見られず、しかも非常に不安定ですぐに変質してしまうため、地表に上がってくる過程で水と反応して蛇紋岩となる。

 玄武岩は地下60㎞よりも深いところでマントルが部分的に溶けてマグマになってそれが冷えて固まったものであり、その過程で構成される鉱物の融点の違いから橄欖岩とは違うものになり、熱・圧力・水の3つの条件によって性質の変化が異なってくるので冷えて固まったときに違いが出る。

 花崗岩は、玄武岩質マグマからできるもの、変成作用でできるもの、安山岩の地殻を原料とするものがある。地下でゆっくり冷えてゆっくり地表に上昇し、その過程で周囲のいろいろな石を取り込むために、白っぽくて結晶の詰まった粒の大きい石になる傾向がある。また、水がなければ多く作られないので、地球ならではの石である。花崗岩の密度は玄武岩より小さく、地球はいわば重い玄武岩(海洋地殻)の上に軽い花崗岩(大陸地殻)が乗っている形になっている。

 そもそも、岩石はなぜ固いのか。造岩鉱物のほとんどはケイ酸塩鉱物という種類であり、酸素(O)原子4個とケイ素(Si)原子1個が強力な結びつきを生む共有結合で結びついた単位胞がいくつも規則的につながることでできた様々な結晶によってできている。

 そして、電気的にはマイナスであるSiO4正四面体に電気的にプラスの元素が結びつくという構成が造岩物質の基本形になる。そして、造岩物質のほとんどは固溶体といわれるものになる。

 橄欖岩、玄武岩、花崗岩は、色、組織、粘性、密度が異なり、さらに複数の種類に分類される。終盤では、このような地球の構造がどうしてこうなったのか、46億年前からさかのぼって著者の見解を交えながら推測している。そして、石も時代によって進化していると語られている。岩石の分類として、火成岩、堆積岩、変成岩についても説明されている。

 まずは3つの種類に絞った解説を行うことで筋道が明確になり、マクロ的な視点から岩石とはどういうものなのか整理しながら理解できるようになる本である。

 

新書、224ページ、講談社、2017/5/17

三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)

三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)

  • 作者: 藤岡換太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: 新書