密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

現代のマーケティング理論と共通することを一般的な起業に平易な視点で解説。「ビビりの起業法」

著:中村 裕昭

 

起業の本。著者は失敗を経験しながら着物リサイクルや自転車の引き取り事業などで成功したという起業家。その体験に基づいて、商売をうまくやるコツについて説明している。平易で読みやすい。

 

売れるかどうかなんて、売ってみないとわからない。商品ありきで考えると、「売りたい」「私は間違っていない」と思考の枠が狭くなるので注意すべき。そもそも、この世にずっと売れ続けるものなど無い。

 

「僕たちがやるべきなのは、商品とお客さんをつなぐことです。商品やサービス自体は自分とは無関係に存在していて、お客さんも世界中にいる。その接点として自分はいる。そう理解するだけで、可能性は無限に広がります」。

 

売るものは何でもいい、と著者は言う。大事なのは、勝手に売れる仕組みを作ること。大切なのは、「集客」と「セールス」だけ。決め打ちせず、軽く売ってみながら可能性を探る。

 

お金に関する失敗は、人の能力や商品の質が原因よりも、知人の借金の保証人になったり、まだその段階ではないのに借金して無理に規模拡大を図ろうとするといったことが理由であることが多いという。プライベートと商売のお金を一緒に管理しない。生活費はキープしておいて余ったお金をタネ銭にすればいい。気負いすぎず、最初は、損をしなければいいやというくらいでいい。なるべくお金は使わない。お金が回り始めたら、お金を回してさらにお金をうみだしてゆく。小さく始めて、お金が入ったらガンガン回す。チャンスは一瞬なので、行動は素早くする。

 

正解は現実にある。判断基準は主観ではなく数字や結果に置く。大事なのは「売れるかどうか」だけ。学びは結果を出すためのものだけで、あとは行動を重視する。やってみないと何が必要なのかわからない。買ってくれるお客さん以外の他人の言葉にも耳を貸してはいけない。少ないお金でできるか。お金の流れはいいか。自分に決定権があるか。

 

商売とは問題解決を代行すること。実際に購入するお客さんに、どうしてそれを買おうと思ったのかを聞いてヒントを見つける。問題を深堀する。商品から考えるのではなく、世の中にはどういう問題があるのかを探す。商売においては、なぜ買うかがとても重要。

 

とにかく、テスト。自分の仮説やアイディアや商品を第三者にぶつけてみること。その商品やサービスが世の中に求められているのか試して確認すること。反応を数値化すること。時間もコストだと考えて効率よくつかうこと。すべてのテストは結果が出るまで仮説でしかない。商売はエンターテイメントであり、顧客体験が大切。テスト段階では利益は追わない。お客さんの声に商品を合わせる。類似商品・拡大商品を狙う。一番勝ってくれる可能性が高い人は、過去に買ってくれた人、興味を示してお店に来てくれた人。経営者の仕事は、現場の仕事ではなく、お金を稼ぐ仕組みを作り増やすことなので、軌道に乗ったら自分の手を空けて次のサービスにつなげられるように、外注したり人を雇ってもいい。仕事を作業レベルまで分解すれば人や外部に任せられる。任せたらうるさいことは言わない。ただし、お客様は人につくので注意する。

 

同じような説明があちこちに書かれてあったりするが、平易に読みやすく書かれている。ユーザエクスペリエンスや顧客からのフィードバックの重要性など、現代のマーケティング理論で説かれることと共通することが多いのが印象的である。

 

単行本、総合法令出版、2020/5/8

ビビりの起業法

ビビりの起業法

  • 作者:中村 裕昭
  • 発売日: 2020/05/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)